42話 旅立ちそして挫折
第二章になります。
評価と感想をお待ちしております。
俺は旅立ちの日、成田空港に来ていた。上野駅から30分で到着するとはずいぶん早くなってるな。朝8時に空港に到着した俺は、そう今日から約3週間の上海遠征なのだ。
「フライトの3時間前か…予定通りだな」
確かカウンタ―の前にある自動改札機で手続きだったな。やり方が分からんから機械に張り付いてる……男は嫌だな。お姉さんに頼むとするか。
「お姉さんちょっと」
「は―い」
「預け鞄は1つです。足が伸ばせる席で通路側をお願い」
「かしこまりました」
1分程で希望通りに発券できた。早すぎても遅すぎても選べない。3時間前限定の特権だ。げっ! JALカウンタ―……大行列じゃん。上海行きだからか!? こんな混んでるのかよ。仕方なく30分間行列に耐えカウンタ―で荷物を預け手続きを終える。出国ゲ―トに行くとここでも1時間かかり漸く抜けることが出来た。しかし、パスポ―トに押印してくれないとは! 顔認証で便利になるのは良いが、海外に行った記念の1つが残らないのは少し寂しい感じがする。数年前に登録しておいた指紋ゲ―トも全部無駄になったのか?
この後、フライト20分前に搭乗しエコノミ―席独特の苦痛に3時間耐え続けた。新幹線と比べてはいけないが、飛行機は窮屈だ。救いは新作映画が1本観れることくらい? 『サラリ―マンはつらいよ』と嘆き上海へ降り立った。中国は入社直後に1度仕事で来ているが上海に来たのは初めてだ。
「気候は東京と変わらんな、早速ホテルに向かうか」
今日はホテル宿泊で明日から会社が用意したマンションに移る。日本と違うところは、人の多さと活気だ。とにかくうるさい。日本の空港は清潔だったが無人のように思える静かさだった。外に出るとクラクションがやかましいな。タクシ―のりばに向かう。
「・・・・」
1時間以上は並ぶことになるな……。1時間以上の苦行に耐え続けた。並んでる間にも白タクの勧誘が何度も来る。
「不用!」
白タクの勧誘は、不要とつっぱねる。事前に行先と料金が決まるのでアジアでは、白タクはヘタなタクシーに乗るより安全でよく利用されている。ただ、正式な領収書が出ないため自腹になるから利用出来ない!
タクシーの列を少しでも前の奴と離れると割り込まれる。
「・・・・」
既に5人は割り込まれた。こいつ等絶対頭おかしいだろう。割り込んだ奴を蹴飛ばしたい気持ちグッと堪え続けていた。
乞食がタクシ―行列に突っ込んでくる。顔が半分ない。片目、鼻は完全にない。口は半分くらい焼けて閉じている。商売のために自分で焼いたんだろう。若い女性は、顔を合わせずシッシッと馴れた様子で追い払う。俺の目の前で見つめてくる。
「・・・・」
俺は、こいつが見えないと自分に暗示を掛け貫き通した。
学生風のちょっと可愛い乞食がタクシ―列の中を縦横無尽に渡り歩いている。ちょっと可愛いので俺の前に来たら小銭をやるか。
俺の前に来た。お、しゃべれない設定か。首から文字が掛れた大きいカ―ドを掛けている。なになに……ハッ?
『あなたの血を分けて下さい』
「・・・・」
フォェーー。怖い……。目を合わせちゃいけないヤツだ。
ホ―ムシック? 中国に到着して早くも日本へ帰りたくなった。
苦行を終え心身ともに疲れ何とかタクシ―に乗り込んだ。
「〇〇道と〇〇道交差点近くのホテルへ」
「チッ 遠いな。割にあわねぇ」
運転手はブツブツ言いながらも走り出した。中国では行きたい場所の住所ではなく通りの名を伝えるのが一般的だ。日本と違い国外(上海市街)ナンバ―は、高速に乗れないや市内に入れないなど規制が細かい。主要都市は、渋滞防止に偶数、奇数で車に乗って良い日が決まっていたくらいだ。
二時間ほどでホテルに到着し初日からぐったりしてしまった。
海外遠征になります。
言葉の問題は携帯の翻訳機でしゃべる設定になりますが細かい部分はスル―してください。
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