10話 決断
初投稿です。
よろしくお願いします。
次の日の朝は、普段よりゆっくり起きて会社に行く支度をした。
昨日上司に呼ばれたからである。かなり早めに車で出発した。
千葉県に入ってから普段使っていた出勤路が閉鎖されており迂回路が出来ている。道もすごく混雑している。
「早めに出て正解だったな」
結局普段なら1時間程度で着くところ2時間くらい掛ってしまった。
会社に着き俺を呼び出した上司の野村課長に挨拶をする。
「片山君、ご苦労さん、じゃあ、早速行こうか」
「え? どこに行くのでしょうか?」
野村課長は、俺について来いという感じでいそいそと歩き始めた。
応接室の前に来ると、
《コンコン》 ドアを叩く
「入れ」
上司 「失礼します」
俺 「失礼します」
目の前には、川島部長と杉田常務が座っていた。
上司 「片山君を連れてきました」
部長 「座ってくれ、常務から話がある」
常務 「片山君、君は確か海外工場も何度も支援しているな」
俺 「はい。アメリカ、インド、中国は、何度か短期支援に行っています」
常務 「そうか。アメリカは、矢野君に決めたから。」
だから―! 突然何を決めたんだよっと心の中で突っ込む。
常務 「タイ、スリランカ、インドネシア、中国で好きに選んでよいぞ」
こいつは、何を言っているんだ!選んでよい?? 選ばなくてもよいのか?
この時点で話が少し見えてきた。
部長 「これ以上、生産をストップできなくなったのだよ」
「千葉の部品を海外でも生産できるように立ち上げてくれないか」
「自動車部品だけなら1か月くらいでできるだろ?」
たまらず、部長が補足してくれた。
俺 「はあ、まあ、そのくらいあればある程度までできると思います」
常務 「で、どこにする?好きに選んでよいぞ」
……!? ……こいつはどんだけ上から目線なんだよ。
上司 「このまま給与保証だけしているワケには、いかんのだよ」
確かに会社都合で休みの間でも会社は8割の給与を保証しているのだ。
上司 「設備の移設や準備もある。悪いが今すぐ決めてくれ」
――お前も知っていたなら昨日言えよ!!
考える時間が無いじゃないか!
俺は、またしても心の中で叫んでいた。
少し考え、1か月間も行くのであれば、タイが妥当である。だが、少し考える。
ダンジョンの海外情報をもっと調べておけば良かったと後悔しているのだ。
中国はダンジョンに一般人も入れたな。ダンジョンは確か北京と上海だったか。
この会社は、中国にも工場が多くある。
北京や上海もあるが主力は人件費のもっと安い山奥だ。
俺 「あの―、中国ならどこの工場になりますか?」
常務 「うむ。良い質問だ。答えてくれ、川島君」
おまえ、知らねえんだろ? な、そうだろ?何が良い質問なんだ?
と、俺は心の声から念話にランクアップしていた。
部長 「中国は上海だ。多少人件費は高いが港もあり設備を移設し易いんだ」
まあ、暫定的な対応なら設備を日本に戻す事も考えトータル的に安いのであろう。それと、上海ならダンジョンに潜れるな。俺は、決断した。
俺 「んじゃあ、中国でお願いします」
常務 「おお―。片山君、よく、選んだぞ。後は、わしに任せておけ」
常務 「片山君は独身だったな。とてもよいぞ」
常務 「おい、川島君、人事部に片山君の住まいなど手配しろ」
…… ……。何をお前に任せれば? 独身が良いのか? 単身が経費安いんだろ?
部長 「はっ。直ぐに手配します」
上司 「だいたい、1か月くらいで移設と工場人員の確保が出来る」
「片山君はそれまでに準備をしておいてくれ。もう帰って良いぞ」
疲れた――。上海なら良かったと考えるべきか?決まったことは、しょうがない。
俺は直ぐに頭を切り替えた。
帰宅中はダンジョンのことばかり考えていた。明日から本格的にレベル上げだ。
海外遠征に少し心を躍らせるのであった。
過去の文書を見直していました。
アドバイス、誤字、脱字を教えて頂いた方、ありがとうございます。
よろしくお願いします。




