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吸血鬼かな?いえ真祖様です  作者: もっすん
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3

案の定捕縛されたでござる。今現在オレは頭に剣を飾り付けられ腕を縄でぐるぐる巻きにされている。こんな縄すぐ抜け出せるけど、久しぶりの人間さんだしちょっと様子見。


「お前、何者だ?」


「人間ですよ騎士様」


「普通の人間は剣を頭にぶっ指して喋らねぇんだわ。知ってるか?」


「好きでぶっ指してる訳じゃないんですけどね。あ、あれですグールとかゾンビとかそこら辺のヤツになってますはい」


「あーあいつら会話できる頭ねぇんだわ。てか頭やられてる奴はアンデットにはならねぇんだわ」


そう言ってガチムチはオレの首に剣の刃をたててきた。さっきからガチムチばっか喋ってるけどオレは甲冑娘と話したいねん。


というかこういう尋問を男からされてもちっとも楽しくない、変われガチムチ。


「兄ちゃん…でいいのか。もうそろそろ話してくれねぇか?オレもそうだが、相方の限界が近い」


そう言われて甲冑娘の方を見ると、床に魔方陣が展開されており今にもこちらに手をくだせる状態だ。


騎士二人はたぶんオレを吸血鬼と思ってるんだろう。オレが話したら牙が見えたろうし、赤目だからね。


甲冑娘が出してる魔方陣はたぶん火の系統の魔法だろう。吸血鬼達から散々やられて系統ぐらいなら見分けられるようになった。


一瞬感謝しそうになったがそれはなんか違うような気がする。


「は、話すもなにもオレはなにも知りませんよ。腹が減ったので町に降りてきたら、誰一人として人間がいないし、朝になったので隠れていただけですよぉ」


雑魚吸血鬼役になりきろう。今更魔法とか剣とかで死なないとわかってるし、どうにかなるだろ。


「…そうか。知らないならいい死ね」


「炎よ焼け」


「ぐぁあああ!?」


あいつ躊躇なく燃やしやがった!あっつい炎が熱い!ほらガチムチもビックリしてるよ。そりゃそうだよここ家の中だもん!木造建築の一階でこんなバカでかい炎出したら駄目じゃん!


炎が天井にまで燃え移り、洒落にならない状態になったので逃げるガチムチと甲冑娘。その姿が見えなくなったので、オレは急いで台所にあった水瓶の中へ飛び込んだ。死なないけど熱いもんは熱い。



「け、剣が引っ掛かって出られん!」



■■■


「野良吸血鬼が一匹だけか」


部下の報告からそいつはこの件には関わりがないらしい。確証はないが吸血鬼を目の敵にしてるあいつに連れてこいと言っても無駄だったろうし仕方あるまい。


「しかし、こうも生活感を残した状態で集団逃亡など考えられんし、盗賊の類いでもない。……魔族どもか」


そうすると吸血鬼がいたことには、違和感が残る。魔族と吸血鬼、こいつらは別の存在だ。種族的には同種だが、食うか食われるかの関係である。共闘する可能性など毛ほどもない。


「偶然と処理していいだろうな。他に報告は?」


「……」


「どうした?」


「いえ、魔法の残滓から強制転移魔法が使用された痕跡が…」


「……それを先に言え」


「すみません」


「ということは十中八九魔族絡みか…面倒臭くなりそうだな」


「はい」



■■■



「行ったか?はぁぁ煤だらけじゃ」


散々な1日だった。見繕った食器や日用品は燃えるし、服が燃えるし、オレが燃えるし。バーニングな1日だぜ。


「魔族ねぇ、吸血鬼と仲悪いんか…種族的ボッチの中でボッチなのかオレは…」


この生まれた瞬間から…転生した瞬間から背負った業を認識したら生きていく気力が。


「帰ろう。帰って今後の生き方について考えてみよう」


引きこもるか、年単位で引きこもるか。あーでも毎日のように来訪者(襲撃)が来るしなぁ。魔法使って砦でも作るか、魔法の使い方知らんけど。













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