アニオタ外へ出る。
新連載
アニメは最高だ。
画面の中で、好きなキャラが動いているのを見るとほんとうにそこにキャラがいるんじゃないかという妄想にとりつかれ、幾度となく画面に向かってダイブしてしまいそうになるほどに最高だ。
ここ最近の僕のお気に入りはとある魔王がおかしな世界ではちゃめちゃしながら日常を過ごすラブコメだ。
あれは最高だ。本当に語り尽くせないほどだ。
これを語るためには1000000文字じゃ足りない。100000000000文字は必要だろう。
まぁ、そんな冗談ともとれないような感動を語りたい気持ちを抑え、原作を読む。
やはり、アニメもいいが、原作も素晴らしい。そもそも原作がよくなければ漫画化もされないし、アニメ化などされるわけもない。
すべてはこの原作に掛かっていると言ってもいいだろう。
そう。この読みやすさ。これがラノベには大切なのだ。
最近は本屋のラノベコーナーもすこし広がり、世間一般にもラノベや漫画といったアニメにつながるものが売れてきていると聞く。しかも!本屋さんが選ぶ漫画大賞などといったものも企画されているじゃないか。
まったく素晴らしい。
このままいけば僕の日本人アニオタ化計画も。。。
「はぁ!だめだ!落ち着けー!」
僕は興奮してきた脳みそを落ち着けるために立ち上がる。
そして大きく深呼吸をする。
すーーーーはーーーー
すーーーーはーーーー
「よし!」
そして再び原作を読む。
そういえばこの原作シリーズは現在も続けおり、たしか今日最新刊が発売される。
「忘れてたー!!!」
僕は再び興奮し、そして立ち上がる。
部屋の隅にある鞄を手にし、中に財布があるか確認する。
「よし。1000円札入ってるな。問題ない」
僕は鍵をかけ、すぐさま出発した。
季節は春に近づき、地味に生温くなってきた気温だが、そんなときでも僕は急がず、ゆっくりと歩く。
周りにいる人々は僕なんかには目もくれず、自分の目的の方へと歩く。
「きちー」
はぁー。なんでみんなはこんな人混みで普通に歩けるんだ?なんだ?僕がおかしいのか?いや、違う。それは違うよ!
てかこいつら背高すぎだろ。何センチだ?軽く3メートルあるんじゃないの?なんで?ふざけんなよ。ぼくにもよこせよ。その身長。
てかこいつらどっかで見たことあるくないか?
あ、そうかそうか。そういえば当たり前か。毎日とはいかないまでも1ヶ月に1回は外に出てるしな。同じ町の人だし見たことあるのは当たり前か。
「ん?」
本屋どこ行った?もう着いてもいいとこなのにどこにもそれらしき建物がない。
「あれ?」
というか僕の知るような建物がひとつもない。ビルも住宅も全てがない。そのかわりにあるのは石づくりの1~2階建て程度の建物ばかり。
「あ、歩きすぎたか」
僕はそう思い、道を引き返す。人の流れに逆らうのはとても気力を使うが、そんなこと言ってられない。
「僕の本屋ー」
はぁ。めんどくさい。なんでこんなに歩いちゃったんだよ。僕のバカー。
「疲れた」
「だ、大丈夫ですか?」
へ?
僕に話しかけてきたのはすこし小さな少女だった。すごく可愛く、赤い髪をしていた。
いや、今どき赤って目立つだろ。なんでそんな色に染めたんだよ。ひょっとしてこの子はバカなのか?
「珍しいね。赤い髪なんて」
僕はただそう言った。なのに少女は笑った。
「赤い髪なんてどこでも見かけますよ?」
はぁ?日本はそんなに混沌と化していたのか?まじかこの1ヶ月でなにがあったし僕の故郷。大丈夫かよ。
「へ、へぇー。あ、そういえば本屋ってどこにあるか知ってる?」
僕は思い出したようにそう言うと今度は少女の方が困った顔をした。
「ホンヤ、というのはなにかの道具ですか?」
「はぁ?いや、お店だよ。なに?そういうの知らないの?」
言うと少女は顔をあげた。
「あー!お店ですか!だったらこっちにありますよ!」
少女は僕の手を引っ張って歩き始めた。
「あ、あぁ。ありがとう。えーっと。君は?」
「私の名前はユータリナ=エミラという者です!」
「はぁ?ちょっと待って。ゆーたりな?えみら?」
「はい!そうです!あなた様は?」
どうした日本。お前はそんな風に名前をつける国だったか?
思い出せ日本。君はもっと漢字を使った国じゃなかったか?
いや、しかしおちつけ。僕がここで本名を名乗ると問題が発生しそうじゃないか?
よし。ここは適当に前ネトゲで使ってた名前を使うか。
「僕はマルク=サリアっていうんだ」
そう言いながら僕は思う。ここってほんとに日本か? と。