御園透子のこと
初めましての方も、お久しぶりですの方も、こんにちはエリカです。ムーンさんに連載中の作品も中途半端ですが、ちょっと行き詰まりまして、新作を作成してみました。お暇潰しにでも読んでみてください。
私には、二人の子供がいる。
とうに三十路を越えて37歳…もうすぐ38歳になる。
最早アラ4世代の御園透子は、所謂、世間でいうところのシングルマザーだ。
今年高校生になった娘の御園遥香と、高校受験真っ只中の中学三年生の息子の透矢の三人家族である。
まぁ…家族と言っても、親子と言っても、血が繋がっているのは息子だけ。
その息子も、父親がいない子供なわけだけども…
娘に至っては、紆余曲折があり私の子供として育てここまできた。
そのことに関しては、娘はもう知っている。
世間の皆様は、なんとも複雑な家庭とのたまうだろうが…
かと言って、ぎすぎすした親子関係では全くない、とっても仲良しの親子なわけだ。
私のこれまでの生きざまを少しだけお話しようか…
宇宙の中の太陽系の地球という星。
その地球上の日本という国のある都市に生まれ落ちた私は、子供の頃はまだ一応の裕福層の家庭で育っていた。
小さいながらも人気のクリニックを祖父から継いだ優しい父親と、明るく笑いの絶えない母親。
そんな家庭で育った私とー二卵性の双子の妹と弟。
私達は、仲良く楽しく暮らしていた。
あの頃は幸せだった。
あの頃は楽だった…と、思いだしては言える時期だったと思う。
高校二年の夏休みまでは…
突然、その幸せの均等が崩れた。
父親の弟夫婦がいる街に行っていた両親。
隣街から戻る高速道路で、居眠り運転のトラックに後ろから突っ込まれて車は中央分離帯に接触し大破。
両親は、あっけなくこの世を去った。
即死状態だった両親。
五つ離れた双子の妹と弟を連れて、両親と対面した時の寒さを、私は忘れないだろう。
真夏だというのに、流れた涙もお父さんの頬を触る指先も冷たく感じた。
私達に遺されたのは、両親の多額の保険金と、いつも新しい命が誕生する神聖な産婦人科クリニック。
父親の知人が弁護士で、未成年のため遺産である保険金の管理をしてくれた。
事故を起こした相手側からの保証金もあり、そのおかげで私達の生活は保証されてはいたが…。
当時高校二年だった私は、進路はもちろん医大。
進路希望で書いた医学部の文字。
クリニックを継ぐんだと、躍起になっていた私は一気に気落ちし、勉強にも手がつかずに成績はがた落ち。
泣く泣く医学部を断念し、看護大学へと進路を変更。
だって、大好きだったクリニックが人手に渡ってしまったんだから。
人手と言っても、叔父さん達だが。
お父さんの弟である叔父さんは、優しくてお父さんに似ている。
だけど、優柔不断でバカがつく程のお人好しだ。
「大丈夫…透子ちゃんが一人前になるまでは、クリニックを守っているから。」
なんて…言っていたのに。
細々と姉弟で暮らし始めて三年…私が二十歳になった時、叔父さんはクリニックを手放した。
知人の会社設立の保証人になってしまった叔父さんは、多額の負債を負いクリニックを土地ごと売り、奥さんの実家がある九州へと引っ越して行った。
お人好しにも程がある…
世の中の詐欺は、叔父さんを見逃さなかった。
知人でさえも詐欺となるんだから、さぞかし騙し易かったんだろう。
保証人の欄に名前を書かせられ、知人はさっさとトンズラ。
クリニックを売り飛ばしても、お釣りが来なかったというから末恐ろしい。
高校生になった妹と弟。
当時は付き合っていた彼氏もいた。
高校三年の時からの付き合いで、男友達だった彼氏は私を励まし労ってくれた。
おちゃらけて笑わせてくれたり、支えになってくれたんだ。
明るく楽しい彼が、私は大好きだった。
高校を卒業して彼は医大に入学。
学業が忙しい彼だったが、私達が住むマンションによく来てくれた。
妹と弟を可愛がってくれて、三人手を取り合って頑張ろうと誓い合った私達を応援してくれた…
彼との付き合いも五年が過ぎ、私はもうすぐ大学卒業し就職の予定だった。
私達も頑張ってますと、両親の七回忌で報告した。
そんな矢先…
妹が…
更新は不定期ですが、長すぎな長編ではないはずなので、更新頑張ります。