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助けたい

カイリside



宮殿から一度組織に帰ると、


当然、そこにカンナの姿は見えなかった。



カンナの部屋に入ると、


ついさっきまでいたかのような、

温もりを感じる。




「カイリ様…」



「アギか」



「鏡と一緒に姿を消したそうです」



「そうか…」



「ヒナタの姿も見当たりません」



あの女…。



まぁ、ヒナタがついていったのなら、少しは安心できる。



「結局、お話にならなかったのですね」



「なんのことだ」



「白虎の皇女様のことです」



「話したところでどうなる。もうよい。今宵は独りにしてくれ」



「承知しました。ゆっくりお休みになられてください」



まだ実感はない。


これから少しずつカンナのいない現実を思い知らさせるであろう。


あっちの世界に帰れば、

待っている男もいる。


たとえ傍にいられなくとも、


愛しく思う女が幸せになるのであれば、未練も後悔も…何もない。


ベッドに置かれていた

カンナの着物をそっと手にとり、


思わずぎゅっと抱きしめると、


柔らかな香りがして、


更に強く抱きしめると、


まるであいつを抱いている気分になって…




「凄っい光ね!目が痛いわ」



「一日2回もくらえばね…そりゃ痛いわよ」



「失明しないかしら」



本当に、そばにあいつを感じられる気が…



えっ?


ガチャっと部屋の扉が開いて、中に入ってきた女。




「あれ?若様?なんで、あたしの部屋に?」



「お、お、お前たちこそなぜだ!!なぜ戻ってきた!!」




カンナは少し疲れたようにも見えるその瞳を、じっと私の方に向けていた。



ほ、ほんとにカンナなのか?



「きゃぁっ!やだ若様ったら、カンナの着物抱きしめちゃって」



えっ?



「それでなにをされていたんですかぁぁ?」



ヒナタの言葉に、思わず持っていた着物を放り投げた。



カンナは目を細め私を睨みつけてくる。



「で、…なぜ戻ってきた」



「若様に…聞きたいことがあるの」



カンナがそう呟くと、ヒナタはその場で小さく一礼して部屋を出ていく。




「城は…落とせたんだよね?」



「あぁ…」



「…おめでとう」




そして、続く沈黙。




「そんなことを聞きに戻ってきたのか?なら、早く元の世界に…」



「違うよ!!」



私の言葉をさえぎるように声を張ったカンナの瞳からは、


ポロポロと涙がこぼれ落ちていた。



「本当なの?」



「……なんの話だ」



「あたし…白虎の…皇女なんでしょ?」






カンナSide


若様は、目を丸くしてあたしを見降ろしていた。



「な、なぜ…お前がそれを…」



「やっぱり…知ってたのね…」



「……」



「知ってて、ずっと黙ってたの?どうして?酷いよ‼︎」



「知らない方がよいこともある」



知らない方がいい?



「違う‼︎それは若様の自己満よ‼︎」



「お前は、両親が事故で死んだと思っていた。おばあ様のことも本当の祖母のように思っていた。


そんなお前に何も言えなかった。


それにこの世界で皇女だとわかればいつ命を狙われかわからないのだぞ?」



お父さんとお母さんは…殺された。



おばあちゃんもあたしの側近だっただけで血なんか繋がってなかった。



あの15年前の戦争で…。



あたしの人生も180度変わってしまった。



「それともう一つ、やり残したことがあるから帰ってきたのよ‼︎」



そう啖呵をきってあたしは、部屋を飛び出した。




「カンナ様…」



廊下を歩いていると背後から声をかけられて、振り向くとそこにはモアのお父さんがいた。



「戻っていらしたのですね!!」



「はい…」



モアが死んでから、お父さんの瞳には魂がない。


どんな言葉をかけても、きっとなぐさめにもならないだろう。



「モアがあなた様に出会った時、流白村で言っていたことを覚えてますか?」



「えっ?モアと出会った…とき?」




“なぜだかわからないけど、あたいの中にある血が…白虎の血が…カンナを助けなきゃって、そう言ってる気がするの…”



白虎の血…。



「はい…覚えてます…」



コクリとうなずくと、穏やかに微笑んでるお父さん。




「カンナ皇女様…ご生存されていたこと、心からお喜び申し上げます」



お父さん…。



「もう…みんな知ってるんですね…」



「アギ様から聞きました」



そう言って、お父さんは深々と頭を下げるとその場を後にする。



それを見計らったように、



「これはこれは、お戻りになられたのですね?」



声をかけてくる人物。



「キト…」



「白虎の皇女…“カンナ様”…とでもお呼びすべきかな?」



「……」



「なぜ戻ってきた」



「それは…」



あっ!!そうだ!!



「皇帝陛下は?」



「えっ?」



「もう…処刑されたの?」



「いや…まだだが…」



急がなくちゃ…。



「おい!カンナ!どこ行くんだ‼︎」




“お前の両親は殺された…”



憎い…


マリ王妃が憎くてしょうがない。


だけど、リシル陛下を憎むことはできない。


それに、陛下が処刑されれば、


蓮も…。



「どうやって牢に忍び込む?」



あたしたちは、ヒナタの武空で、

青龍の宮殿に急いだ。


見張りの兵は…3,4、…5人か…。


全員組織の人たち。


あたしたちが行っても怪しまれないかな…。



「カンナ…大丈夫よ。あたいに任せて」



「……?」



「これを持ってきたから…」



「え?」



お酒?



「睡眠薬入りよ♪」



えぇ?


なんの考えもなしに、


とりあえず牢まで来たあたしとは

雲泥の差。


準備万端じゃん。



「牢の鍵もあたいが開けるよ!!合図するからカンナはスキを見て牢の中に入るのよ!!」



「う、うん…」



ヒナタは酒を手に、兵のところに歩いて行った。


その様子をじっと見ていたあたし。



「みんなお疲れ様!!」



「おぉ~ヒナタ、こんな時間にどうした?」



「ほらっ!!若様から、いやいや新皇帝陛下からの差し入れよ!!」



「おぉ!!酒だ!!おいみんな!!一休みしよう。中の奴も呼んで来い!!」



牢の中から2人の兵が外に出てきた。



すれ違い様、兵の腰からスーッと鍵を取ったヒナタは牢の中に入っていく。



さすがヒナタね…。



それからしばらくして牢から出てきたヒナタは、チラッとあたしの方へ視線を移した。



みんなが飲み始めたそのスキに、

牢の中へ入ったあたし。





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