ラゼクアマミヤの政治体制について(「第2部 塔のあれこれ(その7)」時点)
皆様の感想を見ていると、当然と言えば当然なのですが、地球の王政をそっくりそのまま当てはめているので、違和感を感じていらっしゃるように感じます。
地球の王政を前提に考えて、貴族が多すぎると言った様々な問題を上げられているのだと思うのです。
まずこの話の大前提何ですが、当初から上げているように実際に神がいる世界という事をお考えいただきたいと思います。
セントラル大陸を離れた他の大陸各国は、その前提に立って王政を運用しています。
故に、聖職者たちが政治の中枢に食い込んでいるというわけです。
ここまでなら、地球の歴史上でも在った政治体制と言えるでしょう。
対してセントラル大陸ですが、まず歴史上一度も国家が出来ていない大陸です。
それぞれの都市は、他の大陸の影響を受けながら発展していきました。
他大陸のパワーバランスの中で、一国だけの影響を受けないように一つの都市でそれなりに強い権限を持った都市国家あるいは自治都市のような体制になっていきました。
それ故に、それぞれの都市にそれなりの権限を持った数人あるいは数十人単位の貴族が存在しています。
これがセントラル大陸の歴史上の前提です。
そんな中で塔と言う大陸内である程度優位に立てる都市が誕生しました。
しかも後には、その管理者はこの世界において絶対である現人神も出現しています。
その流れでケネルセンと言う街が、塔の街に傘下入りをしました。
ここで皆様が仰っている貴族の扱いが出てきます。
もしこの段階で、塔が王政になっているのであれば、六侯達の扱いにも手を入れれたかもしれません。
ですが、この時はまだ神(考助)の意思を受けた代官が陣頭指揮を取っていただけです。
ケネルセンの貴族のありように口を出せるわけではないのです。
神である考助が一番上に立っているのは当然ですが、この時点で第五層の街とケネルセンは、上下関係が発生していたわけではありません。
アレクが考助の代わりに指揮をしていたので、立場的には上に立っていたといえなくはないですが、それだけです。
もしこの時点で貴族の在り方に塔側が口を出せば、傘下入り自体が無かったことさえ考えられます。
ケネルセン内での身分が保障されたからこそ、六侯達もすぐに傘下入りを決められたのです。六侯達に限らず、他の貴族たちへの影響も小さいですから。
傘下入りの話は、ケネルセン側から持って行った話ですが、そのくらいの話し合いは打診した段階で行っています。
一応この時点で貴族位の返還は考えられなくはないですが、そこまでの権限はアレクにはありません。
もしくは考助が直接口を出せば、出来なくはなかったかもしれませんが、直接政治に関わることを選択しなかった考助はそれを行いませんでした。
このケネルセンの結果を見た他の町や村もそれならと傘下入りを決めました。
貴族たちは、塔へと貢ぐ物があるので目減りはしますが、それ以上に塔からの利益を見込んで塔側に傘下入りします。
ここまですんなりと傘下入りが決まったのは、それぞれの町や村を治めている貴族位(身分)が保障されていたからです。
そうでなければここまで順調に傘下入りは増えなかったでしょう。
そうして塔内だけではなく大陸内で、ある程度の影響力を持てたおかげでラゼクアマミヤの建国となります。
正式に考助(神)の信任を受けて、フローリアが女王として擁立しました。
ここで皆様が仰っている貴族位を何故返還させて、ラゼクアマミヤとしての貴族を立てなかったのかという問題が出ます。
ですが、ラゼクアマミヤ建国の前提となっている各町や村の傘下入りが、貴族たちの位を保証していたために成り立っているのです。
いくら神の信任を受けたとはいえ、フローリアがその前提を覆すのはかなり厳しいでしょう。
もしくは覆したとしても、その時点で貴族たちの反発は必ず起こったと思われます。
忘れてはならないのが、傍若無人な振る舞いをする貴族はともかく、ケネルセンの六侯達のように多くの住人達に支持を受けている貴族もいるのです。
フローリアが貴族位の返還を求めれば、そうした貴族たちを中心とした恩恵を受けている住人達の反発も起きたでしょう。
さらに、建国することによってできたであろう討伐の派兵(軍事力)の見返りなどに関しては、貴族位を返還してまで受ける恩恵としては小さすぎます。
傘下入りした町や村側としては、別に今までやってこれたんだから、と言う感じです。
少なくとも貴族やそれに連なっていた人々にとっては、貴族位(今までの秩序)を返還してまで受ける恩恵としては大した大きなものではないです。
ラゼクアマミヤ側にとっては、受ける反発の方が大きいと判断したという事になります。
これが大陸内で秩序が乱れていたというのであれば、そうしたことも起こりえたでしょうが、曲がりなりにも大陸内は安定していたのです。
今まで長々と語ってきましたが、こうした歴史的な流れがあります。
貴族の数が多くて、国としては反乱が起きやすいのではということですが、そもそもラゼクアマミヤは、各町や村の貴族ではなく、あくまでも町や村そのものとの関係です。
ケネルセンの六侯であるロイスは、ケネルセン内の爵位であって、厳密な意味でラゼクアマミヤの侯爵ではないです。フローリア(王家)から爵位を授けられているわけではないという事になります。
言ってみれば、「ケネルセンの」ロイス侯爵となります。
「ラゼクアマミヤの」侯爵と言うわけではありません。
政治体制としては、フローリアを頂点とした王政ではありますが、その力は土地の力によるものではなく、神(考助)の信任を受けて運営している神権政治に近いでしょうか。
その王家は、第五層の街をはじめとした大陸内の町や村の調整役を担っているという事になります。実際に町や村を治めているのは、それぞれの町の貴族たち、という事です。
いずれはラゼクアマミヤにも貴族が誕生することもあるでしょうが、それは大陸内に新しく土地を開墾したり、北の街のように街の住人が運営の権限をラゼクアマミヤに献上(?)して、その統治を任せた場合とかになるかと思います。
今はまだ、そのような立場の人間はいないのです。
貴族位の返還問題は、その時々の流れで出来た時があったかもしれませんが、少なくとも今のように大陸が平穏な状態だったかどうかは疑問です。
考助がそれを許可したかどうかはあえて語りませんが、少なくともフローリアやアレクはその道を選ばなかったという事になります。
外交に関しては、あくまで王家が中心ですので、町や村の貴族たちが対応するわけではなく、ラゼクアマミヤの文官などが対応することになります。
江戸時代の徳川家のような感じでしょうか。
勿論、王家の指示を受けてそれぞれの町の貴族たちが対応する場合もあります。
色々疑問に思われる読者の皆様が多かったのでまとめてみました。
感想でいただいた質問などに対する回答をまとめた物になります。