はじめての、あいうえお
007
そういえば、掃除していたときも鼻歌を歌っていた。楽しかったな。どうせなら、ちゃんと歌詞を歌いたい。いつまでも、「がおー」ってのは、乙女的にいただけない。前世の享年は、「妙齢」だった。でも、生まれ変わった、ワ・タ・シ。若返ってるの。だからいいの、乙女で。
ということで、発声練習も始めよう。
あ〜
「ガー」
い〜
「ぎー」
う〜
「ごー」
え〜
「がー」
おー
「ぐおー」
・・・
つづいて、
か〜
「がー」
き〜
「ぎー」
・・・
あ、あきらめるもんか!
・・・
な〜
「ぎぃあー」
に〜
「ぐぃー」
ぬー
「ぶー」
ねー
「ぶぇー」
のー
「ぼぉー」
うう、わたし負けないよ、お母さん。
そして、ハ行
はー
ブワァッ
口いっぱいから炎が出ました。
火ぃぃぃ
・・・それはないでしょ!
目の前でいきなり火がついたら、普通は誰でもおどろく。たとえ、自分で吹き出したものだとしても。
もう、あと、いくつびっくりしたらいいのだろう。火吹きドラゴンなど、ファンタジー世界の定番だ。どんどん、人の範疇から遠ざかっていくなんて。 ・・・せめて、まだ、中身だけでも人並みのままでいたい。
気を取り直して。
ひ〜
ぶわっ
炎は、「は」よりも横に広がった。
ふ〜
ぶぅー
一直線に延びる炎の槍になった。
へ〜
ぱっ
小さめの火の玉になって、しばらく消えなかった。
ほ〜
ぶおぉぉぉ
太い炎の柱になった。
火種ができたね。
とにかく、50音の発音練習によって、「ハ行」でちょっとでも気を抜くと炎を吐いてしまうことがわかった。「イメージ」も「力」も全く込めないように注意したら「ばびぶべぼ」と言えた。
なんだかな〜。今日は疲れた。
さらに、新しい能力を発揮?!でも、使いこなせなくてはねぇ。