生きるために 3 くろこげ
決着
005
「力」を丸呑みにしたヘビが、硬直した。
やはり「弾」を喰われたか? ヘビの反撃を警戒して、やや距離を置く。
次の瞬間、山頂が光に包まれた。
稲妻が四方八方にまき散らされる。音にすらならない衝撃にはじき飛ばされた。
これがヘビの反撃か?! あわてて、第二射の準備に入ろうとしたところで、光が消えた。
・・・ヘビは、もういなかった。
山頂には、黒焦げの骨が数個、残っている。崖下に、ヘビの本体は見当たらない。
ヘビ本体が森に飛ばされた可能性もあったので、周辺を上空から調べ回った。それらしきものは見つからなかった。
山頂から転げ落ちたヘビが住処に戻ったかもしれないと思い直し、あの洞窟の最深部まで潜った。生き物の影も形もなかった。
まーてんの山頂に戻った。黒い骨を目前にして、ようやく頭がマワリ始める。
・・・なんてこったい。
自分の放った「力」が予想以上の威力だったのだ。深手を負わせたままだったら、さらに手の付けようがないほど暴れただろう。一撃で倒せたのだから、それはそれでいい。
いいのだけど、あのヘビを跡形もなく消し去るほどの火力でなくてもー、と。今更だけど。
ヘビの「気配」と「弾」の余剰エネルギーが、まーてん周辺に漂っている。おそらく、ぶつかりあったときに体の構成物質もろとも「力」に還元されたのだろう。「相殺」を使ったのでもないのに、何がどうなったらこうなるんだ? しかし、もう一度実験する訳にもいかないな。怖すぎる。封印だ、封印。
雨が降ってきた。
さっきの爆発で雲が刺激されたのか、いつもよりも大粒の雨が惜しみなく降り注ぐ。大気中に溢れている「もの」が、雨に導かれて大地に還る。自分にも還ってくる。ざわついていた空気がなだめられているかのようだ。
仰向けに寝転んで、全身に雨を受けてみた。
またも、生き延びた。
争いに勝って、住処を勝ち取った。
自分のこと、ヘビのこと、「力」のこと。わからないことが増えた。
そう、まだまだ初心者なのだ。この世界の。
焦らず、忘れず、少しずつ知っていけばいい。
そうだよね?
横を見ると、黒い骨は、雨に打たれて形を失っていく。なんとなく、「その通りだ、精進しろよ」と、いっている気がする。
見る間に小さくなり、流れて消えていった。
・・・しっぽの端っこだけでも残っていてほしかった。ヘビの丸焼きっておいしいかな? 肉、食べたい。
夕方の、いつもの動物たちの鳴き交わしは、心なしか遠慮がちに「こっちみるな〜」とでも言ってるように聞こえた。
・・・どうも、お騒がせしました〜。
自分の実力を把握できたかな?