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戦い終わって

023


 あの後も、大変だった。


 片っ端から蟻団子にして、洞窟に回収した。全部集めきるのに、夜中までかかった。


 さらに、まだ、ほかにも岩大蟻が徘徊している可能性があるので、じゃんじゃん弾をつくる。

 結局、徹夜してしまった。



 翌日からは、ポーチを蟻弾いっぱいにして森の中を探しまわる。何を? もちろん、岩大蟻を、である。


 予想通り。


 草原まで出てきたような大きな群はなかったが、十匹ぐらいの群は、そこかしこで見つけられた。木の上をはねるように移動し、気づかれる前に殲滅した。もちろん、単独行動している蟻も、取っ捕まえて団子にした。


 背負いかご一つでは、せいぜい四個までしか団子を運べず、索敵も含めて、森と洞窟をずいぶんと往復した。



 今までは、大型の魔力を好む動物たちの多いエリアを探索範囲にしていたが、今回はその外側の様子も調べて回った。

 外周部では、今のところ五匹以上の群は見つかっていない。あれは、多分まーてんに近いところが繁殖場所なのだろう。そして、一年のうちの今頃が繁殖時期で、増えた個体が、内外に溢れ出る、と。


 そういえば、アレの天敵って、いるのかな? 



 やがて、蟻のシーズンは終わり、そして、自分のもとには大量の蟻団子が残った。


 さて、何に使おうか?


 一年分の、各種サイズの蟻弾をつくる。残った。さらに、二倍の数をつくる。まだ残る。四倍までつくった。


 蟻団子はまだまだある。


 多分、来年も岩大蟻は出るんだろうな。そうすると、また、蟻団子が増えるんだな。


 ・・・洞窟が、団子づくしになってしまう。蟻弾以外の使い道を、考えなくては。


 調理器具一式は、しばらく改造する予定はない。あ、薫製ボックスを新調しよう。前の物よりも大きくし、前扉をつけて、中身を出し入れしやすいようにする。食料用と、種、枝用の二台をつくった。


 ・・・まだある。


 一度に使い切る必要はないけどさ、団子の山が崩れ落ちてきて下敷きになりました、なんて、やりたくないし。


 ・・・団子じゃなければいいんだ。


 五個の蟻団子をこねてのばしてたたいて、やや厚みのある板状に加工した。うっかり下敷きにされたら、これまたペタンコになりそうな重量感。自分は、これを片手でヒョイッと持ち上げ、壁際にきれいに立てかけていく。

 積み上げていく方が良かったかな? 何となく、木工所で木を立てかけて保管しているようにしてみたかったのだが。そのうちに、間仕切り代わりの棚もつくってみるか。いや、それも蟻団子でつくっちゃえ。


 蟻団子が蟻板素材に変身し、きれいに整頓された。うん、使いやすくなったよね。


 さぁて、ほかに何かつくれないかなー。


 ・・・そういえば、草原で群と戦ったとき、何度か大顎に引っ掛けられそうになった。その後、回避するときに体勢がすぐに整えられなくて、ひやりとしたっけ。近接攻撃をうまく捌けるようになればいいのかな?


 森の動物には、毒持ち、とか、電気持ち、とか、素手で触るにはちょっと、なものが多い。魔力隠蔽や自分の索敵感覚で邂逅を避けようとしても、偶然出会い頭に、なんてことも、たまに、ある。かといって、殺してしまうのもなんか嫌だし。相手の攻撃をちょいちょいと捌いて、怯んだ隙に逃げ出す。これだね。


 捌くだけだから、刃物は要らない。体格の大きい動物にも対峙できるサイズがいい。


 いろいろ考えて、棒をつくることにした。


 およそ2メートル、両端は丸く、軽く握れる太さで、滑り止めもかねて断面を八角形にした。なんか、工作の器用さが、さらにあがった。気がする。


 

 実は、蟻の頭だけいくつか残しておいた。別に、トロフィーにしたかったわけじゃなく、蟻の中身も何か使えないかと思ったからだ。本当は、胴体もあったのだが、捌く前に臭ってきたので、仕方なく団子にした。頭は顎の付け根部分にある消化腺? を、取り外し、残りの中身は魔力で焼き尽くした。


 頭を、棒の練習台にしようと思ったのだ。


 棒の強度は、今現在最高ランク。これ以上はないというくらいに、ぎぃゆぅぅぅぅぅっと、握り込んでつくった一品。なんか、いろいろ表現が微妙だけど、性能に問題はない!


 ということで、試し打ちならぬ、試し殴り。


 べきゃっ


 蟻の正面から、エイヤッと振り下ろしたら、見事にへこみました。全部。真ん中だけでなく、頭全体がね。


 今度は、片手で、ポクッと。


 真ん中がへこみました。


 ついでに、蟻板も持ち出して、縦に、横に打撃練習。


 板の薄い面を横から殴る。フルスイングで、まっぷたつ。軽いスイングで、なみなみ板に、片手でポクッといったら、えぐれた。


 板正面から殴る。二つ折り。槍のように持って突く。穴があく。調子に乗って、「突き突き突きぃっ」とかやったら、穴だらけになった。



 ・・・これも、生身の動物さんと試合をするわけにはいかないな。

 

暇人が突っ走るとこういうものができるのか・・・

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