それでも「仮」
021
ここでも、手持ちの材料で何かできないか、考える。
しかしなぁ。
魔力の感覚って、「さらっ」として「ふわっ」とした「でっかい」もなんだが。それらを「指先ほどの大きさ」に千切り取る道具って、なにがある?
箸、とか、ピンセット、とか、スプーンとか。
・・・食器から離れなさい。
スポイト、メスシリンダー、シリンジ、などの実験器具。
・・・あまり、日常的じゃない。
ピルケース、飲み薬のカプセル。
・・・これで火をつける? そう、すぐになんとかしたいのは「火」力だ。できるだけ、違和感のない物にしたい。
マッチ、ガスライター。
種火ならいいかもしれない。マッチをすったように想像して、ぱちっと、指を鳴らす。・・・やってみたら、松明になった。まだ、だめか。
か〜りょ〜く〜、か〜りょ〜く〜、威力もか〜りょ〜く〜
頭の中で、変な歌が始まってしまった。とそのとき、またも浮かんだ。
銃の弾丸。
あれは、「火」薬が封入されていて、撃鉄でたたくことによって発火し、その爆発力で推進力を得るしくみだったはず。火薬の量で、弾速も変わる。
そして、「弾」。あるじゃないか、蟻団子から作ったやつが。
弾の中に魔力を込めて、撃つときに「質」と「効果」を付加する。おおお、いけそうだ。
蟻団子弾に、ほんのちょっと「魔力」を注ぎ込む。できた。が、すぐに、四散した。あ〜、団子にするときにはそうでもないけど、元々、魔力をはじくんだった。何度やっても、だめだった。
あとは、てん杉か。
枝弾は、「魔力」を注いだら、粉になって消えた。・・・本当に、わからないよねっ、てん杉って。
残るは、種弾。もちろん、薫製済みの物。慎重に「魔力」を注ぐ。・・・いけそうだ。たき火用の枝を的にして、「火」が「点く」イメージで、撃つ。
ぼふっ。
着弾の威力で折れはしたけど、枝に火がついた。あ、撃たなくてもいいのか?
床の上に種弾を置いて、指先で「魔力」をそそぎ、イメージ。
ぷわっ。
これよこれ! こんな火が出したかったのよ!! やればできるじゃん。
ほかの「質」でも試してみよう。
「雷」。弾がスパークした。撃ってみたら、的もろとも爆散し、燃え尽きた。イメージを間違えたか?
「空気」。撃つだけ。的にした枝が、すぱっと切れた。カマイタチ。カマキリとどっちが強いだろう?
その後、「空間」以外で、三項目をいろいろ変えて実験した。実験で使いすぎて、種弾がなくなってしまうまで。
・・・まあ、これは、ほかに良い方法が使えるようになるまでの「仮」の手段、ということで。
自分で調節が利くようになるといいんだけどな・・・
創意工夫の限界に挑戦中。




