つかえるものは
019
一応、食事について、満足できるようになった。次は、身の回りの道具について、もう一工夫したいところだ。
特に、採取するときに、持ち帰るための容器が欲しかった。芋とか芋とか芋とか。泥まみれの固まりを両手に抱えて森の中を歩いて帰るのは、かなり大変なのだ。
ほかにも、指弾用の玉と採取用のナイフをポーチにいっしょに入れておくのは使いづらいとか。薫製済みの種を保管するのに、かごのような物があると便利だな、とか。料理に使った道具を洗うとき、ひとつひとつわき水のところに運ぶのは不便だな、とかとか。
なので、今日はかごを作ってみようと思う。
竹に似た植物が、あちこちに生えていた。ただ、節の部分にぐるりと太く長い針が生えている。タケノコにも生えている。あれも、一種の針山だな。リスもどきのしっぽといい勝負だ。
慎重に切り倒し、針を折り取る。引きずって持ち帰りたいところだが、大きな音を立てると、オオカミさんがやってくる。これは、魔力を好まない方の動物で(魔力好きのオオカミもどきもいる)、何かしら普通じゃない音がすると、すっ飛んでくる。ので、素早く枝を処理し、程よい長さに整えたところで、肩に担いで走って帰る。
まーてんの草原までくれば一安心。
取ってきた日のうちに、六つ割にする。小洞窟の一つに運んで、しばらく乾燥させる。
あ、量をそこそこ集めないと、作れないや。
もうひとつ、なめし革にも挑戦している。先日のウリボウの皮は、不格好ながら何とか使えるしろものになった。当てずっぽうな方法で作業したのに。魔力様がエラいのか、ワタシがより器用になったのか。
ほかの動物の皮にも、挑戦した。
塩と蟻団子と魔力で、あーでもないこーでもないと加減しながら加工する。成獣はにおいがきつくて参った。最後には、てん杉の種の煙で燻した。これって有りなんだろうか、どうなんだろう。
改めて、かご作り。
節を抜き、さらに半分に割って、太さをそろえる。外側の節は、ナイフで削り、滑らかにする。内側も削って厚みを減らしていく。少々曲げのばししても折れないくらい薄くなったら、手のひらに魔力を込めて、熱を与え、ゆがみを直していく。本来は、大きなたき火が必要な作業だが、魔力万歳、手のひらでできちゃいます。本当に便利。
竹板の本数がそろったところで、かごを編む。丸底で、子供が背負っても邪魔にならない深さ。腕力に任せて、がしがし編んでいく。何度も作り直した。竹板の幅もいろいろ工夫した。
ようやく、使える物ができた。数個用意した。採取用には、なめした皮を使った背負子ひもとふたをつけた。芋や薫製種、薫製済みの果実などを保管するかごには、竹板で編んだふたをつけた。
ふっ、まだまだ作るぜ。
よく作れました。時間だけはあるからね。




