はじめての焼き肉
017
ふと、我に返った。
目的は、「焼き肉」ではなかったか?
・・・ちょ、ちょっと順番が入れ替わっただけで、作るつもりの物だったし。問題ない、問題ナイ。
気を取り直して、狩りにいくことにした。ついでに、食べられそうな植物も採取してくる。入れ物がないから、そうたくさんは取ってこられないが。
まず、山芋のむかごのような物があった。あれは、炒めたり、ご飯といっしょに炊いたりして食べたことがある。ホクホクしておいしかった。幹に直接なっていて、ひょうたんのような形をした実も採った。これらは、イノシシもどきや鹿もどきがよく食べている。
ポーチには、さほど量は入らない。後は、動物を狩って帰ろう。
今日も、鳥を取ってきた。
いよいよ、料理開始!
むかごとひょうたんもどきを湧き水で洗い、食べやすそうな大きさに切った。肉も、火が通りやすそうな形に切った。火をおこして、蟻板(鉄板じゃないから)を掛ける。鳥の脂身っぽいところをのせる。ちゃんと油が回った。材料を、蟻板の上に並べて、塩をふる。
程よく、肉の焼けるにおいがしてきた。
念願の、焼き肉だ! いただきます。
むかごは、むかごの味だった。あー、醤油も欲しい。ひょうたんもどきは、味のないカボチャだった。でも、悪くない。あ〜、なんか、涙が出てきた。
次々と、取ってきた物を平らげて、いつの間にか全部なくなっていた。
そんなに、食いしん坊だったかな?
ごちそうさまでした。
肉は、毎日は食べない。まーてんの魔力供給があるので、「何となく食べたい」時だけ、狩りをすることにしている。健康の秘訣は、腹八分目だ。
もっとも、てん杉の実の薫製は、ほぼ毎日作っている。これは、なぜかすぐに食べてしまうから。魔力をたくさん含んでいる物を、体が欲しがっているのだろうか。
そんなこんなで、また、食べたくなってきた。
今日は、串焼きにしよう。
あらかじめ、むかごとひょうたんもどきを取ってきておいた。このところ、鳥が減っているような気がするので、別の獲物を狙う為だ。四つ足の動物を持って帰るのに、できるだけ両手はあけておきたい。
何と、はぐれウリボウがいた。よーく、耳を澄まして、目を凝らして、親イノシシがいないことを確認。蟻弾を、シュート!
血と内蔵だけ抜いて、持って帰る。
皮を剥いで、長さ80センチほどの蟻串を用意して、ウリボウに刺す。火をおこして、ウリボウをあぶる。切り分けておいた野菜は、もっと小さい串に刺して、火にかざす。あぶり具合を調整しつつ、先に焼けた野菜を食べる。これはこれで、なかなかいける。いよいよ、ウリボウも食する。時折、塩をふりつつ、かぶりつく。
またも、完食してしまった。
より、肉食系らしい生活になってきたな。がるる。
念願かなって。




