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成せば成る 1

013


 アダムとイブの時代じゃないんだ。イチジクの葉っぱは古すぎる。


 切実に服が必要なんだ。


 衣服の材料。皮とか布とか。


 どこにあるんだそんなもん、ふたたび。



 ・・・ん? 皮?


 くるりと洞窟を振り返る。あの中には、確かにある。先ほど脱ぎ散らかした、脱「皮」した抜け殻が。


 あわてて駆け戻る。生のてん杉の実のように、溶けて消えてなくなっていないよね?!


 あった。グニャグニャの皮が。よかった。


 とりあえず、材料確保!


 今度は、形を整える・・・


 皮の加工なんてやったことないぞ?

 何より、はさみも針も糸もない。


 ここで、便利な魔力君登場。


 固い岩大蟻を団子に加工できるんだから、皮程度をいじれなくてどうする!


 後に、魔法での形状の加工は、非常に高度な技量と大量の魔力が必要であることが分かった。ワタシって、どんだけ・・・。


 それはさておき。


 服のデザインを考える。あまり複雑にはしない。最初だから。それより、服よりも簡単な構造のもので練習するか。ポーチはどうだろう。武器である指弾の玉を持ち運ぶのに使えるし。


 当然、皮全部は要らない。


 つばさの部分を使うことにした。


 ドラゴン形態になって、爪の先に魔力を集め、慎重に皮を切り分けた。ついで、胴、手足、首から上、しっぽに切り分けた。自分バラバラ事件? 皮だけど微妙に居心地悪いな。


 もう一度、人型に変身する。


 つばさの部分に手を当てて、デザインをイメージする。ふた付きのウェストポーチ。魔力を込める。


 できた。


 もう、一気にやっちゃうもんね。

 胴体部分に挑戦する。デザインは、「つなぎ」。作業着として最適。ポケットは無しで。えいっ。


 ・・・おおお、できた。ベルト通しまでばっちり。ボタン&ボタン穴までついてるとは、便利すぎるぞ。


 両足は、編み上げ作業ブーツに。両手は、指ぬき手袋に。しっぽは、ベルトに。そして頭は、「ナイフ」に、もう片方のつばさはナイフの鞘にした。


 てん杉の枝を加工するとき、自分の爪だけではやりづらいところがあったので、ナイフがあれば細工に便利だと思ったのだ。鞘もつくったのは、抜き身で持ち歩きたくなかった為。


 黒い、片刃ナイフになった。これで、実を薫製にする前に、皮を剥くことができる。



 

 ところで、子供が大きくなるためには、たんぱく質が必要。だよね?


 じゅるり。こんどこそ、お肉だ。

本当に、この人、都会人だったんでしょうか?

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