三話
■
――――「シェハキム」領区内第五都市「ギアヌッカ」――――。
翠軍(アヴルニスと紅軍)勢力図がほぼ均衡するこの第三領区でもとりわけ有数の工業系都市として名高いギアヌッカは、ここ5日の間、両軍入り乱れての激しい戦闘が継続していた。
翠軍の聖導槍突兵部隊。
横一列に隊列を組んだ彼らは機体の倍はあろうかという螺旋長槍を構え。
「―――全機、私に続けよッ!」
交互に重なりあった積層建造群の間を高速で奔り抜け、渦を巻いて跳ねうつ軌道となって敵陣に突貫する。渾身の一突を見舞った後、即座に離脱。
―――槍突兵必殺の戦法をもってして臨む戦線はしかし、徐々に形勢を覆されつつある。
建造物の縁に機動を遮られ、ほんの一呼吸離脱の遅れた一体の槍突兵が餌食になった。
獲物に群がり獰猛な顎で噛みつき貪る<狗>ども。
足を。腕を。頭を―――。
狗どもの振動牙は槍突兵の重装外套を容易く刺し貫いて、内部の層鋼をさえ砕潰する。
四足の異形なる機兵「猟狗兵」を駆る敵部隊。
紅軍でも一際異彩を放つ特別隊――――通称「覆滅隊」。
覆滅隊はADAMやGRDNの中から突出した戦闘能力だけを認められた者らによって構成された部隊であり、周辺の被害も顧慮せずにただ敵戦力の殲滅と拠点制圧にのみ邁進する彼らは最悪の戦争屋たちだった。
魔を討ち払う断罪の使徒から優秀な戦争の道具と堕したその姿は、ある意味では現在のGRDNの象徴とともいえる部隊である。
神意顕す刑具から殺戮兵器へと堕ちたのは機兵もまた同様であるかもしれない。
ここにきて神域の力が増大している事により、その力の影響下にある機兵もまた日毎に強力になっている。結果として機兵同士の戦闘はますます激化の一途を辿っている―――そう。まるで神が、そうある事を望んででもいるかのように。
「(――――いいや!こんなものが神の、世界の選択であってたまるものかッ…!)」
聖導槍突兵部隊隊長、ユゴ・ラウヘンは狗共をきっと睨めつける。
幾度かの小競り合いの後。
優勢であるにもかかわらず、急速に猟狗兵が後退していく。
不審に思った「」は索視をかける。
積層建造の隙間から垣間見える戦艦の姿―――アドエス級戦艦は全奏射砲門を此方に向ける。
「こんな市街地でぶっ放そうなんて、奴等正気かッ!?」
「ユニットを巻き添えにしようというのかッ!これが苟も機関の同胞の所業とはッ…!」
「」は歯噛みする。
「全機へ次ぐ、再度突貫をかける。目標は敵戦艦」
「しかし、真っ向からの突撃などみすみす死ににいくようなものです!ここは一旦退却を…」
「ユニットを、神民を見捨てて何がGRDNか!もういい、私だけでもいく。どうせバルネアで拾ったようなこの命だッ!」
「お待ちください!」
アドエス級艦の十字に閉じられた砲口が光とともに開き。
――爆ぜる瞬間。
戦場のすべての動きが止んだ。
結局、戦艦の砲撃はついぞ放たれる事はなかった。といって、敵艦が攻撃を中止したわけではない。
なにしろ砲門が消失しては射ちようがあるまい。
ユゴの目が捉えたのは斜めに切れ込んだ断面を晒す戦艦船首。
そして、船首の先に浮かぶモノへとユゴの意識はうつる。
何処から現れたのか、いつの間にか其処にあるシルエット。
泰然と宙に浮かぶ一体の機兵の姿。
ユゴ・ラウヘンは痺れるような戦慄とともにその物体を凝然とみつめる。
腰部から上方へ向かって伸びる十二の翼は両腕より生える長爪と合わせて機躯を囲う檻ともみえる。
暗灰色の体表は幽光を発し異形の造形にむしろ神々しい精彩を加えている。
その機体には禍々しさの欠片さえない。
だというのに。
灰色の機躯を取り巻くように逆巻く真紅の炎。
ユゴはこの機兵を識っている。否、忘れようとしても忘れられるはずがない。
「――――しかし、似ている………あの魔獣に……!」
■
「――――とりあえず一通りの治療は済んだよ」
浄化槽から出たダネルは魔性の侵食を示す黒色の消えた肌を確かめた。
「すごいな、まるで嘘みたいに黒斑が消えてる…!」
「可能な限り人体に配慮した浄化処方、長年かけて改良を進めてきたシロモノさ」
ダネルに話しかける中肉中背の禿頭の男、Drベクトア。
「私も君と同じく真世界を追放された身さ。場合によってはたとえ人命を犠牲にしてでも、魔を徹底的に駆逐する機関のやり方に疑問をもってね」
いかめしい顔つきとは裏腹に、落ち着いた語り口調は理知的な響きを帯びている。
「いずれ死に至る業病をもつ人間とて、それまで生き続ける権利はある筈だ。私はそう信じている」
「…もう少し早く貴方のような人に出会いたかったです」
己の手のひらを眺めるダネル。
「それでも、何もかもが遅すぎるという事はないさ。いついかなる時であってもね」
「だが、覚えておいてくれ。表面的に快癒したようにみえても、君がディキオスの魂核と繋がっている限り事態の根本的な解決には至らないという事を」
ダネルの身に唯一刻まれた魔性の痕――――青く染まった片目の虹彩がベクトアを映す。
「検査してみて分かったが、君の魔障は通常のものとは少し性質を異にしていてね―――通常の魔性は人の霊性のバランスを崩し、滅びに導くものなのだが…重度の魔障が顕現していたはずの君の霊性は奇妙にも安定している。これは私見だが、君の場合は聖魂機の魂核を媒介しての汚染であるという事が関係しているのだと思う。不思議な事に魔へと染まったディキオスの魂核が乗り手の霊性を侵していると同時に守ってもいるんだ」
だが、と医師は念を押すようにいう。
「たとえ進行や過程に差こそあれ、いき着くところは結局は同じ破滅だろう。アレに乗り続ける限り、魔性による侵食は君の身を一層蝕んでいくに違いない。医者としては、聖魂機に乗るのは即刻止めるべきだと忠告させてもらうよ。よく考えてくれ給え」
「―――という訳で、魔障の影響は殆どないってさ」
「そうか。これでひとまずは安心じゃのう」
ディキオスの魂核の影響はいわずにおいた。いった所で要らぬ気を遣わせるのが関の山だ。
医療所から出たダネルは艦内、表層部への通路をバニに連れられ歩いていた。
「けど驚いたよ、バニ太守が…」
バニの片眉がピクリとあがる。
「あー、悪い。バニが俺を捜してくれてたなんてさ」
「礼ならあやつにいうが良い。パルオーシュ…本当の名はイマハムじゃったか、奴めどういう経路を使ったのか知らんがある日突然連絡してきたのよ。お主があの辺りをうろついとるんで保護してくれとな」
「イマハムさんが…」
「こちらも色々と忙しくって、捜索までにひどく時間がかかってしまったがの」
「そりゃこんなものを拵えてりゃ時間もかかるだろうな」
―――陸上艦<金枝宝珠>。
元は落下した浮界の中心区画であったものに、大規模な改修を加え陸上艦に転用したものである。
艦体表面は岩土で覆われ、上部は一箇の都市ユニットとなっている風変わりな船。
「あの浮界が戦艦になっていたなんて想像もしなかったよ」
「儂とて何でこうなったか不思議でならんわ実際。ま、なんつうか偶然というものはげに恐ろしいものじゃの」
浮界太守、バニ・サウル・ツェフェンヤ―――。
本来なら真世界の叛徒として収監される所であった彼女だが、直後に起った神都消失、ゲフェンノームの大禍にその混乱も冷めやらぬままのGRDN分裂と相次ぐ重大事件の連続によって彼女の処遇は完全に有耶無耶になってしまった。
「――よーするにすっかり忘れ去られてしまったんじゃな。なんせ救助の手勢すら送られてこなかったからの」
よって、聖府から無視され見捨てられた浮界の民は独力で復旧作業を行わなければならなかったのだという。
「いや比喩でなしに死ぬかと思ったわ!製水プラントがおしゃかじゃったら儂らすぐに干上がっとった。それとて復旧班が寝ずの作業を続けてくれたお陰じゃしな。その後も綱渡りの連続じゃった、食料の備蓄が底を尽きかけたり、病が広がったり…自警組織が機能していたので大きな暴動が起きなかったのがせめてもの救いじゃったの」
無論、その過程で民の多くは浮界を去っていった。
「殊に貴族どもはいの一番に逃げ出しおったわ。ま、当たり前か。他にも多くの者がここを去ったが、民の中にはこの地以外にいくあてのない者もおっての。そのような者らを捨ておくわけにもいかんから、儂らも浮界跡を離れる訳にはいかなかったのじゃ」
「そこで考えたのよ。ならばいっそ浮界を動かしてはどうかとな」
厄災からなんとか生き残った彼女と浮界の民。彼らを待ち受けていたのはまたしても数奇な運命であった。
真世界及びGRDNの分裂、内紛が起こって後―――浮界墜落の顛末は少なからぬ誇張と曲解と捏造の果てに方方へと喧伝され、どこをどう違えたかバニはGRDNの暴走に果敢にも立ち向かった幼き英君という事になってしまったのだ。
「まーいってみれば甚だしい誤解なんじゃが、こいつが儂らにとっては偶の福音じゃった」
結果、現状の真世界の有様を憂える内外の諸組織・団体はこぞってバニという神輿を担ぎ上げ、彼らの有形無形の援助と協力によってめでたく<金枝宝珠>は誕生した訳である。
「勘違いとはいえ支援を受けた以上、何もせずにいるのは外聞が悪い。そこで食い扶持稼ぎも兼ねて、このでかい図体を活かして各地の人員や物資を輸送する仕事を始めたのじゃ。それからかれこれ半年以上、そうこうする内に真世界からの難民や第八世界の者どもも集まるようになって今に至るという訳よ」
「なんというか…大変だったんだなバニも」
「お主も相当なもんじゃがの。世が世であらばお互い立場は逆じゃったろうに、英雄が石もて逐われ、叛徒が担ぎあげられるとはまっこと、皮肉なものよな…」
昇降路を経て、艦最上層部、普通の船でいえば甲板にあたる部分―――つまりはかつて浮界の街が広がっていた場所である――にあがる二人。
「お主は恩人ゆえ、いつまでもいてくれて構わんが。生憎ながらこちらも余裕はないでの。働ける分は働いて貰うぞい」
衝立代わりの茂みを抜けるとそこは既に目的の場所。
「―――ようこそツェフェンヤの菜園に」
ダネルは以前訪れたはずの庭の豹変ぶりにしばし呆気にとられた。
生垣に区切られた庭内をかつて彩った目にも鮮やかな花々は一掃され、代わりに丹念に掘り返され耕された土の列に整然と植えられた野菜たち。
唐柿、茄子、胡瓜、甘藍…種々の農作物がダネルを出迎える。
――――そう。華美を誇った庭園は今や立派な野菜畑と化していた。
「…これは…見違えたというかなんというか、ホントにあの庭園か?」
「薔薇も蘭も百合も、手入れの出来ぬ内にすっかり駄目になってしもうての…」
さも残念そうに語るバニ。
「といって、これだけの土地を放っておくのも勿体無いのでの。色々と植えてみたという訳じゃ。ま、少しでも食料が増えるなら良しとすべきじゃろ」
バニは良さそうな唐柿を見繕ってダネルに一つ投げてよこす。
ダネルは受け取った唐柿を一口齧った。
「うん、美味いな」
「じゃろ?」
バニは自身も実をほうばりながらにやりと笑む。
「お主、畑仕事は馴染みがないか?」
「いいや。ガキの頃はよくやらされてたよ」
ダネルは傍に置いてあった鋤を拾い、畑の土を掻いてみる。
「そんならあやつらに世話にならんで済むの」
「―――水遣りが足らん、もっと、もっとじゃ!」
「苗はも少し離して植えんか!」
「ああ、そっちはいかんよ。肥料が馴染んどらんからな」
園内の奥にいる老人の一団が口うるさく周囲の人々を指導している
「みよ、あそこで喚いておるジジイ共は大昔儂の先代、つまり父と何かしら悶着起こして罷免された臣下どもじゃ。みな故郷の危機に、曲がった腰で杖つきながら駆けつけおったのよ。ちょっとばかし喧しいのが偶に傷じゃがみな何くれとなく力になってくれとる」
庭は高台にあり、生垣の合間から下の様子を垣間見る事が出来る。
「本当にずいぶんと様変わりしたな。庭だけじゃなく、全部が」
平地に所狭しと建ち並んだ意匠を凝らした建築群も、浮界の象徴ともいえた古めかしく豪奢な造りの屋敷さえ今や微塵の影もない。
「しょーがなかろ。建造物は落下の衝撃であらかた駄目になってしまって総じて取り壊しじゃし、残った調度品やら美術品やら諸々の金目の物はあらかた浮界の改築費用に充ててしもうたし…まあ綺麗サッパリなくなったの」
「しかし。派手に壊れてしまっても諦めてしまわなければ、存外しぶとく生き延びるもんじゃ。物も人もな」
ダネルはバニの変わり様に驚いていた。高慢さこそ残るものの意気溌溂とした様は以前の彼女とは別人のようだ。
「なんじゃお主、人の顔をジロジロ見おって」
「ああ、いやなんだか大人になったなって。正直いって見違えたよ」
「フフン。儂はもう十二じゃぞ?なんとなれば婿もとれる一人前の成人じゃ!」
ダネルの言葉に気を良くしたのか、バニはここぞとばかりにふんぞり返る勢いで胸をはる。
「ま、初めこそ今の環境に少々戸惑いもしたが然程の苦もなく慣れてしまったわ。流石は人の上に立つ者として生まれた我が身よ、その才覚の底知れなさときたら我ながら恐ろしいのう、はははは」
「(ここら辺はあまり変わってないっていうか、悪化してるな寧ろ…)」
上機嫌で笑い声をあげるバニだったが、庭内に足を踏み入れるとある男の姿を見た途端みる間に顔色を青く変える。
「―――こんな所で油を売っておいででしたか盟主様」
「げえっ、ヨラム!」
ヨラム・ナダフ。
かつてのバニの忠臣にして今や陸上艦をの諸事を実質的に取り仕切るバニの片腕ともいえる人物だ。
「既に新規の受け入れ希望者が待っております」
「あ~しかし、この者を案内してる最中でな…」
「ならば代わりに私が案内させて頂きます。元々その予定でしたしね」
「…そっちの方をヨラムが担当するのは駄目かの?」
「駄目です。民の行く末を決める肝心な場に主が立ち会わなくてどうするのですか。…それと畑のものを盗み食いするのはやめて下さい。いつもいつもいっているでしょう」
しまった、という顔で口元を拭うバニ。
「じゃ、じゃが此処はもともと儂の庭じゃぞ!?何も唐柿の一つや二つ取って食ったくらいで文句なぞ…」
ヨラムは慌てふためく主君の申し開きををすげなくつっぱねる。
「人の上に立つ者がそのような態度とあらば他の者に示しがつきません。今日は客人への振る舞いですし、不問に付しますが二度とこのような事のなきよう」
「うぅー…そち最近ちくっと儂に厳しくないかの?」
「それだけバニ様に求められるものが増しているのだとお考えください。さ、お急ぎを」
随伴してきた護衛の者にまるで連行されるように、渋々と庭から去ってゆくバニの姿を見送るダネルとヨラム。
「随分はっきりと彼女にいうようになりましたね」
「は、いつかのダネル様のお言葉、真に深く染み入りました故。感謝することしきりでございます」
「いや、あの時はつい差し出がましい真似をしてしまって…」
幼き主人とは対照的に慇懃実直なその態度。
浮界から陸上艦に移っても、表面上ヨラムの様子はかつてとまるで変わるところはない。
「今でこそああして逞しく成長なされましたが、浮界が落ちて当初のバニ様は日がな一日泣き暮れておりました。飯が口に合わぬと泣き、蒸し暑いといっては泣き、土で汚れては泣き、木床の寝床に伏しては泣き、枕が変わって寝られぬと泣き、なにやら不安になっては泣き…」
「……そりゃ大変でしたね…」
「ええ、まったく」
苦笑するダネルにヨラムは至極真面目な顔で頷く。
「しかし同時に教えられもしました。ダネル様、人は泣きながら成長するものなのですね」
そうしみじみと彼はダネルに語ってみせる。
「――私はバニ様のお世話を仰せつかって以来。常にあの方の幸せを願っておりました。あの方を決して泣かせはしまいと。けれど、私がバニ様の涙を遠ざけようとつとめたことは、同時にあの方の笑みをも遠ざけることだったのかもしれません…」
「…どうやら変わったのはバニだけではないらしいですね」
そういうと、ヨラムは少し笑い。
「さ、こちらへいらして下さい。食堂の方へはもう参られましたか――――」
■
艦内部、下層区画にある工弊ブロック。
機兵格納庫に収められたディキオス。
「―――とりあえず改修ってもこんなもんだな」
キリヤンは映板に図面を広げる。
「しっかし、こいつの整備士は…」
「ダタンの親方かい?」
「ああ、そいつ…いや、その人ァ本物の天才だな。俺だって機械いじりのセンスはある方だと自負してるが、はっきりいってレベルが違わ。俺でも理解できないとこが二割、理解できても手の入れようがないとこが四割とくる」
素直な感嘆を口にする。
「いや噂だけのことはあるぜ、聖魂機ってやつは」
「聖魂機のこと親方は芸術品っていってたっけ」
「強ち誇張ともいえないなそりゃ。ともかく、俺の腕とここの設備じゃ完全なオーバーホールなんて無理だ。とりあえず使えるようにはしてみせるが、元通りの性能は諦めてくれ」
「そうか…」
「先ずは汚染されてる炉心が魔性を零さないように遮蔽板で包んじまう。計測上はこれで周囲への影響をほぼゼロに抑えられる筈だ。ただし魂核の働きも封じ込める分前より力は劣るようになるだろうな」
「表面層鋼の張替え、これも前よりは数段守備力も保護性能も下がるだろうが機体強度を保つ意味もある。つまり層鋼を甲鉄でギプスみたいに覆っちまおうってこと」
「となると、機動性がかなり落ちそうだな」
「しゃーないだろ。人間に例えりゃ全身複雑骨折の重症患者だぞこいつ。本当なら動かすだけでも無理があるんだよ」
「センサー機能も鈍くなる?」
「ああ、層鋼は感知機能もついてっからな。武装に関してだが、剣はもう一本模造品を用意するが、鞘砲の方は如何ともし難い。一門残っただけでも良しとすべきかもしれん」
「翔翼はどうなってる?」
「それなんだよなあ問題は。気づいてるかもしれんが翔翼のバランスがガッタガタになってて、これ以上無理して飛ばそうとすると機体が衝撃に耐え切れずにバラバラになる恐れがある」
「もう飛べないって事か…」
「せっかくの無限飛行機関だし、制動さえなんとなかなりゃいけるはずなんだが…少し時間くれっか」
「うん、それは構わないけど」
「とりあえず聖魂機にはみえないようには改装すっけども。お前さんの「正体」まで割れたら不味いし」
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「―――恩人である者にこんなことを頼むのは忍びないんじゃがな。ダネル、お主素性を偽ってくれぬか?」
「ああ、俺ってお尋ね者だもんな」
「んむ。お主を匿っとるのが知れるとGRDNと本格的にぶつかる羽目になりかねん。今のところお前の素性は信の置けるものらにだけ明かしておる」
「分かったよ、バニ」
「幸いお主の名はありふれたものじゃし、姓だけ偽れば誰も気づきはすまい」
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「――――なあ、ダネル・「ドネル」。で、いいんだよな?」
「……うん」
キリヤンは不満気なダネルを慰めるように肩をたたく。
「ま、語呂が良くっていいじゃねえの。覚えやすいしよ」
「…いいんだけどさー」
ダネルは格納庫を見回す。
ディキオスの周辺に並ぶ首巻き付の機兵達。
―――機兵・「尖闘兵」。その数およそ二十機足らず。
自警組織・機兵部隊「オルビスの枝」麾下を示す首巻きは葉を表しているとか。
民兵組織の戦力としては中々の大所帯ではあるのだが。
「――けど、これだけじゃ陸上艦サイズを守護するには足らなくないか?」
「ああ、今ちょいと出張中の奴等がいてな。戦力もそうなんだが、慢性的に整備の手も足らねーんだよな」
「よかったら手伝おうか?俺、元々は技術士見習いだったし」
「なんだよ!それを早くいってくれりゃいいのに。よっしゃ、手伝いついでに色々と教えてやっからよ。お~いトマスー!予備の工具持ってきてくれー!」
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「―――そこらへんの資材はまとめて工廠区画に持ってくから脇に置いといてくれ」
「―――違う違う、でかいのから優先だ」
数隻の輸送艇から降ろされた大小無数のコンテナ群を運搬する陸上艦作業員たち。
現在は艦体左舷部に備えられた大型の資材搬入路への積み込みの真っ最中である。
搬入路と地面をつなぐ繋路にて、工作用に誂えた年代物の機兵――複雑な作業には向かないだろうが、荷の運搬作業に使う分には充分ではあろう――を操るダネルは物資の運搬に勤しんでいた。人手不足の折、曲がりなりにも一般機兵が扱えるダネルに声がかかったのだ。
「中々スジがいいなぁ兄ちゃん!新入りだっけか」
「あ、はい」
「大物はそれで最後だからそいつ片付いたらあがっちまっていいぜ。昼から休みなしだろ?」
「そんじゃ、お言葉に甘えます」
交易が主な収益源である陸上艦では日常的に様々な物資のやりとりが盛んである。
各地のユニットや居留区に立ち寄り、他所から運んできた資材や物資の受け渡しを行う。人員の移動もまたこの時に行われる。
ダネルが陸上艦にやって来てから早々と一週間が過ぎていた。
菜園での農作業と時折の運搬作業、それからキリヤンの整備の手伝いを続けながら送る日々の中、ダネルは密かな悩みを抱えていた。
―――金枝宝珠にいれば、これ以上機兵に乗らずに済むかもしれない。そうすればディキオスを介した魔性の侵食も進行することはないだろう。
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「機兵を降りる?いいんじゃねえの?」
「随分あっさりいうなキリヤン」
「元々、機械工目指してたんだろ?そっちも人手足りねえし充分役に立つかんな」
「けど、いいのかなそれで」
「大の男が自分で決めた事に口だす奴はいねえよ」
キリヤンの言葉に皮肉の色はなく本心からのものであることは伺える。
「(自分で決めた事、か…)」
が故に、ダネルの懊悩はいっそう深まる。
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艦表層では夕暮れ近くになってもまだ陽射しは強い。
搬入作業が一段落し、艦上へと戻ってきたダネルは周囲の人の輪から一寸離れ、手近な所にあった石台に腰を下ろした。
往事の美しい街並は消えてしまったものの、大地の上にいるような安らぎを覚える。
熱りを癒すように吹き抜ける風を感じていた。
「お疲れ様ですダネル様~お茶をどうぞ~」
「シスタールミエラ!どうも」
シスターは仕事を終えた皆に茶を配って回っているようだ。
手には大きな盆と重ねたカップ。両の腕には計六本のティーポットをぶら下げている。
「頑張っていますね~」
「…シスターほどじゃありませんけどもね」
なみなみと注がれた杯を渡されながら。
「ここにきてから働き詰めではありませんか~まだ本調子ではないのでしょう~」
「身体を動かしてる方が余計な事を考えないで済みますから」
飄々として掴みどころのないシスターだが、彼女なりに気を遣ってはくれているらしい。
「そうですわ。お悩みなら占ってさし上げましょうか、私本業は託宣士なんです~」
「―――それはまた今度お願いしようかのシスター」
「あらバニ様~」
振り返るとダネルの後方にたつ石垣の上にバニが立っていた。
「打ち合わせとかは終わったのか?」
「うむ。後事は皆に任せてきた」
「あ、ヨラムさんだ」
「嘘ォ!?」
「嘘だよ。…やっぱり逃げてきたんじゃないか」
「ぐぬう、謀りおったなお主!いーのじゃ、あやつら放っとくとどんどん調子にのって人をこき使いよるからの。偶にこうして抜けだして猛省を促すのじゃ」
「意外と苦労してるのな」
「お主いったい何を眺めておったのじゃ?」
バニはしゃがみ込んでダネルの視線の先を追う。
「こないだ避難民の人たちがいるかなと思ってさ」
「残念じゃが、彼ら元々環境系ユニットの出だったようでの、丁度そちらの人材を欲している同系ユニットが受け入れを希望していたからほぼそちらに回って貰ったのじゃ。勿論、避難民の意志を尊重した上の話しじゃが。正直な話、収容人数の問題は中々深刻での。こちらとしても無尽蔵に受け入れ出来るほどの余裕はないのよ…」
「そうか…」
「まだ、ここに落ち着くふんぎりがつかぬか?」
さらりと心中の迷いをいい当てられ、ダネルは内心どきりとした。
「俺は…まだここにいてもいいんだろうか。逃亡者の俺がいればその内この艦に迷惑がかかるかもしれない」
「そうかもしれぬな。新興の儂らはただでさえ目につくゆえ、面倒事も多い。その上お主を匿っていればいずれは良からぬ輩の目を引くやもしらん」
「…随分はっきりいうんだな」
「そういって欲しかったのじゃろ?腫れ物に触るような扱いは当人には却って堪えるものよ」
「なら、俺も率直に聞くよ。お前が偽名を勧めた理由をさ」
ダネルの蒼眼が少女を見つめる。
「俺にダネル・アラクシを捨てろといいたいんだろ?命を削るような機兵から降りて、ただの棄民に戻れって。Drから魔障の話を聞いたんだな?」
「…んむ、悪く思うでないぞ。黙ってたお主もその、良くない」
「別に文句をいうつもりはないよ」
「お主も知っておろうが、此の船にいる者の半分は浮界の外から来た移民達じゃ。棄民、神民を問わず暮らす此の地でなら、お主だって新しい生き方が出来るかもしれんじゃろ」
「…今更、そんな生き方が赦されるんだろうか。何もかも投げ出してそんな都合のいい道を選ぶなんて」
「誰もお主を責める者などおるまいよ」
「多分、そうなんだろうな。だけど俺は、俺を責める。何も出来なかった俺を。誰の願いもかなえられなかった俺を」
ダネルはふと笑う。
「…バニは凄いな。こんなに大勢の人たちを纏めあげて、守ってる…」
ダネルの言葉にバニは眉根を寄せる。
「あのなあダネルよ…これだけははっきりといっておくがの。お主は儂の、否、この金枝宝珠にとっての救世主なのじゃぞ?」
「そもそもお主らGRDNがおらなんだらあの時、浮界の民は儂を含めて残らず滅んでおったろう」
「あれは俺一人の力なんかじゃなかった、ウェルバやミディ、隊の皆…そしてフィーラがいてくれた…俺一人じゃ、何も出来やしなかった」
「ならば、儂もまた同じじゃよ。ヨラムをはじめとする多くの者が儂の手となり足となってくれておる。儂の一人の力なぞ、ううん、人間一人の力なぞどこまでいってもたかが知れとるんじゃろう」
バニはダネルのすぐ傍にある一段高くなった岩稜へと上がり、そこから集群をみつめる。
「…不思議なもんじゃの。かつてあれほど厭うておった儂を囲う世界が今はかほどに愛おしく思える。浮界が落ちたあの日―――儂はこれでなにもかもが終わったと思った。儂を苦しめるものも儂が頼るものもすべてなくなって。悲しくも不安でもあったが、同時にせいせいもした。諦めは弱き者には甘露よの」
「けれど…皆は違った。多くの民が落ちた浮界で生きていくために持てる力を尽くしてくれた。決して諦めようとせず。儂が滅んでしまえとさえ念じたものを、必死に守ろうとしておる彼らをみていて、儂は己が恥ずかしくなったよ…」
そう小さな背を丸める少女はダネルの目にはじめて年相応に映る。
「だから――少なからぬ者が去っていって尚、それでも我が下に残り儂を主と呼んでくれる者たちの為に、僅かなりとも出来る事をしてみようと心に決めたのじゃ」
それがこの少女の君主としての本当のはじまりだったのだろう。バニにとって浮界から金枝宝珠へと姿をかえた此の場所はもはや、己を囲う牢獄でも己を包む揺籃でもなく、自らが守るべき「家」であった。
「―――それからな。あれ以来儂はずっと、「彼女」にいわれた事を考えておったよ。過去を悔いるより、先を恐れるより、ただ今を生きるのに懸命であれば。それだけで世界はこんなにも変わる…本当にその通りじゃった…」
「彼女」―――その言葉が楔のようにダネルの心中に密かに食い込む。
「せめてひとことなり謝っておきたかったの…」
「……彼女も、今のバニの姿をみたらきっと喜ぶと思う…」
彼女と、ダネルは何故かそう言葉を濁し頭を垂れた。
「ダネル!面をあげい!」
突然。バニは一段高くなった石垣から、勢いをつけて下へ跳躍する。
「危ねぇ!?」
咄嗟にダネルは少女の身体を下から抱えて落下を防いだ。
「何すんだ!怪我するじゃないかッ!」
「そうじゃの、お主がおらなんだらの」
バニは悪戯っぽく笑いダネルの腕から降りる。それから彼の前を数歩進み。
「のう、ダネル。人は一人ではとても弱い。みな誰かに護られ、だからこそ精一杯己の力を使って誰かを護ろうとする――」
夕明りを背負い振り返るバニ。
「それを教えてくれたお主がなぜ今、すべてを一人で背負い込もうとするのか?」
「……バニ…」
目前の少女の姿に今一人の少女の姿が重なる。
「彼女」の姿―――惨劇のあの日から無意識に封じていた記憶。
少年は強く握ったその手をまじまじと見つめ。
「俺は馬鹿だな…。偶々もの凄い力を手に入れて、それでなにかが出来ると舞いあがって。こんな…ちっぽけな自分のままだってのはまるで変わってやしないのに、それを忘れて…今まで周りの皆に頼ってばかりで、それでなんとかやってこれたんだ…今だってそうだ、皆に支えられて…そんなこと分かっていたのに…分かっていた筈なのに…!」
「彼女」がいた。
友がいた。
仲間がいた。
其処にダネル・アラクシの場所はあった。
「――――フィーラ…!」
堪えきれず少年は少女の名を呼んだ。
フィーラ・アンフィルエンナ。
誰よりも独りの卑小を知り、だからこそ命を尽くして己が外の他者に呼びかけた少女の名を。
―――彼女の歩みを識っている限り。
―――彼女の歩みのその果てを忘れずにいる限り。
「―――俺は…一人っきりだなんて決して思っちゃいけなかったんだ…!」
そして、少年は世界を取り戻す。
彼は改めて自らに問う。
今ある自分に出来る事は。
そのかくも小さなその手で、それでも掴めるものは何か。
彼女の望みは何であったか―――。
「(―――――負けないでね、ダネル)」
―――そう。
ダネル・アラクシにはまだ応えられる願いがあった。
艦全体に警報が鳴り響く。
外より聞こえる怒号に思考は中断される。
「襲撃ですかッ?」
ダネルは慌ただしく持ち場へと急ぐ男の一人に尋ねた。
「ああ、恐らくは野盗の類だろうな。奴等にとっちゃこの艦は宝の山に映るんだろうさ!」
艦体側面を揺らす爆音がここまで響く。
「ち、伏兵がいやがったか。今うちで動かせる機兵はすべて艦首方面の敵兵相手に回ってるってのに…」
「そっちをカバーすればいいんだな、分かった!」
迫り来る火の手を前にダネルは走る――。
「おい!どこいくんじゃダネル!?」
「バニは早く避難してくれッ!」
――その手が掴めるものの場所へ。
『――ちょい待てよダネル!未だ改修は終わってないんだぞソイツはッ』
襲撃してきた機兵の一群に執金剛で応戦するキリヤンは、工廠ブロックからの直通通路を使い艦外へと飛び出してきたディキオスを見て困惑する。
「これ位でもなんとかなるさ!あちらで好き勝手やってる奴等を叩いてくる!」
キリヤンの制止も効かず、ダネルはディキオスを駆って反対側にある艦側面の侵入孔を目指す。
推進を出来る限り高め、地を滑るように機体を加速させる。
――艦体を襲う疎らな爆光を目印に向かう先。
「あいつらか…!」
遠方に中型艇と護衛の機兵――大型弓を右肩に背負った機体――が二機。
此方に気づいた機兵が肩の奏射弓を構え直す。
射線を避けるべく、直線から緩い曲線へと前進軌道を変えようとするディキオスだったが。
「(曲がらない…!)」
敵機兵共は正面から突っ込んでくる機影を格好の餌食と認め矢を放つ。
飛突する無数の矢を反射的に機躯の挙動だけで躱そうと試みるも、全身を鎧う増加装皮に運動性は減じられ――。
「―――ぐッ!」
被弾の衝撃に揺らぐ機内。
「掠っただけッ!」
ダネルは強がったが、肩部の装皮はぱっくりと割け中の層鋼を覗かせている。
ディキオスはお返しとばかりに鞘砲による応撃を放つ。
だが連続して放たれた光弾はどれもあらぬ方向に逸れていき、砂岩の地表を虚しく削るだけだった。
「くそッ、照準がアホになってる!これじゃ使い物にならないッ」
となれば、なんとしても相手の懐に飛び込むしかあるまい。ダネルは覚悟を決めた。
「(ええい、もってくれよディキオス!)」
両腕を盾とし機体を多いながらの全速前進。もはや技も駆け引きもあったものではない。
敵射の第二波がディキオスを襲う。乱れ撃つ矢の一矢、左腕を射抜く衝撃をものともせずディキオスは疾走する。
砂地に足を踏み入れた機躯が推進管を限界まで開く――巻き上がる砂塵を逆手にとっての目眩まし。どれほどの効果があるかは疑問だが敵兵の機が僅かなり逸れればそれでよい。
果たして、目前まで迫ったディキオスにようやく敵機が長柄熱斧を手にとるも既に遅し。
真向かいの一体を速度に任せて袈裟懸けに斬り伏せる騎士機。
「もう一機はッ!」
態勢を整える間もなく熱斧がディキオスの片翼にめり込んだ。
衝撃に騎士機は握った剣を落す。
大型弓を外し身軽になったもう一機の機兵は、既にディキオスの背後にまで詰めていた。
長柄熱斧が再び振り下ろされようとする寸前。
ディキオスは左腕に刺さった矢を引きぬいて、鏃を敵兵の眼孔部に押し込んだ。その衝撃ゆえか、振り下ろした熱斧はディキオスの横を打ち、敵機の動きが緩慢になる。
怯む相手を尻目に、騎士機は剣を拾いあげ敵機の四肢を寸断する。
――逃げ出した機兵の搭乗者を乗せ退却していく走破艇を見送りながらダネルは荒い呼吸をつく。
「いつにもましてひっでえ戦い方だな、我ながら…」
思わず笑いが漏れる。
『うぉーい、無事だったかよダネル!』
「キリヤン!こっちは何とか」
『やるじゃねえか!遅くなったがこっちも今しがた片付いたぜ』
「走破艇は逃がしてしまったけど…」
『構わねえよ。逃げる敵なら追わなくていいさ』
艦内に引き上げたディキオスとダネルを膨れっ面のバニが待ち構えていた。
「この戯け!まーた無茶をしくさりおって!」
「バニ、俺決めたよ。やっぱり俺の戦いは此奴と共にあるんだと思う。何もかも失くしたと思ってたけど、まだ失くしてないものがあったみたいだ。そいつを捨ててしまわない為に、俺は戦う」
「……そうか、仕方ないのう」
ダネルは機中から飛び降りて、少女の前に傅く。
「だからバニ、俺を使ってくれないか?」
「んむ?」
「お前の力になりたいんだ。そして、俺に力を貸して欲しい!」
「ふむ、儂としては否やのあろうはずもなし。…じゃがの、お主は所詮ここには収まりきらん人間のような気がするのよな」
「じゃからお主がいずれオルビスの器から飛び出していくその時まで、それ迄はせいぜいこき使ってやるとしようかの」
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「―――ダネルよう、本当にこれで良かったのか?」
「ああ、片翼が完全にやられちゃったからな。どうせ飛べないんなら重りにしかならないだろ?」
「そうらそうなんだが、思いきったもんだ。聖魂機のシンボルといってもいいもんだろうに」
キリヤンは騎士機から取外されワイヤーで吊られた両の翼をまじまじと眺める。
ディキオスと共に工廠ブロックに戻ったダネルはそのまま改装作業に取り掛かっていた。
「ま、お前さんがいいんならそれでいいんだけどよ」
「飛べないんなら這って進みゃいい。この艦みたいにさ」
「へ!まあな、違いねえ」
長く垂れた首巻きを翼の代わりに、鈍色の鎧を纏った新生ディキオス。
癒しようのない傷を負い翔翼をなくした聖魂機は、されどその無骨な機躯に再び戦う力を漲らせ。
少年の新たな決意を反映して鈍い輝きを放っていた――。




