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死神の玩具  作者: 白白白
ー現界ー
2/4

静葉とたった一言だけの会話を交わした次の日



それは窓から現れた。



これが窓を割って入ってきた、又は開いてる窓から飛び込んで来た、なら非常識だが警察を呼ぼう、どうやったら身の危険を回避できるか、で済む話である。




だが、それは違った。


黒いローブを身に纏った骸骨。


あえて例えるなら日本でいう死神だろう。



その死神が現れた時、俺は目を疑った。


窓を通り抜ける、では無い。



窓が波のように揺らめき、そこに亀裂が入ったかと思うとそこからこの死神が現れ、そのまま亀裂はゆっくりと何事も無かったかのように戻った。


そう、文字通り、窓から現れたのだ。




その死神は俺の真上に胡座をかいた状態で浮き、俺の顔をじっと見た後、一言呟いた。






「お主……退屈してはおらぬか?」



「……は?」


「我は退屈しておる。元より朽ち果てぬ身……そして対等な者が生を受ける兆しすら感じぬ程の力……あの頃は良かった……神の汚れを受け入れたあの頃は……」


急に俺の目の前で身の上話が始まった。


色々突っ込み所多過ぎて頭がパンク寸前である。


そろそろ煙が出るだろう。



「だが七千年程前からだろうか……冥府で我に挑む者は唐突に減ったのだ」


七千年前……って何があったんだっけ?


分からなくなったら諦めるのは俺のいい性格だ。



「お主らの祖なる者共も最初は違ったのだ。死に抗い、永遠の生を求めた……だが、祖なる者達は学んだのだ……勿論抗おうとはしていたが、何処かで訪れる物と考え、永遠を心の底から求める者は殆どいなくなった。」


ああ……人類が生まれてから暫く経ったって感じか


ってか千何百万と経ってるのに諦めないとか、今考えると馬鹿だよな。


そういうの発達してないから仕方ないけど。



「お主らは知を得た代わりに魔を失った。それを見た我がたった一人の主、絶対神様はもう一つの世界をお作りになったのだ」


あー若干把握



「つまりあんたが最近暇だから俺が絶対神様とやらが作った世界にいってあんたを楽しませろ……ってこと?」


「察しがいいのう……」


死神はクックッと笑いながら言った


まあ仕草的にそう思っただけだがな。


骸骨の表情とか分からんし



「ってかあんたって神様的な感じだよな?」


「うむ、司るのは時と闇じゃの」


うっわ中二



「ってか少なくね? 見た目死神なんだし死とかさあ」


「死そのものとは存在しないのじゃよ。死とは他の要因により黄泉からの引力に逆らえ無くなった状態じゃ。それと、少ないのではなく純度が高いのじゃよ。絶対神様に至っては一つにまで絞られておる」


もっとも、二つに絞れたのも我くらいしかおらぬがな。と、死神はカラカラと笑いながら言った。



「絶対神とやらは何が出来るの?」


「何がではなく全てじゃ。絶対神様が司るのは理。現世や黄泉はおろか地獄も天国も絶対神様の前では無力。故に絶対なのじゃ」


OKチートか、把握した。



「けどそんなサラッと言っていいの? 結構重要なんじゃない?」


そう言うと死神は呆れたように口を開いた。



「お主、さっきの話を聞いておらんかったのか?この世とあの世も全てはあのお方の僕、弱点などという概念そのものが、あのお方の前では意味を持たぬのじゃよ。第一、もし弱点があったとしても、その弱点という理を歪めてしまえば関係なかろうて」


あ~俺がルールだの最終形態か。



「にしてもお主……初めから思ってはいたがやけに落ち着いておるのう。普通なら発狂しててもおかしくはないんじゃが」


「初めから思ってたんなら初めに言えよ。それと、落ち着いてるんじゃなくて頭の中で大慌てなんだよ。一旦間を置けばあんたの見たい面見れるんじゃねえの?」


もう俺の頭はパンクしてるんだよ、と付け加えると死神は今までとは比べ物にならない程大きく笑った。


「ククッ……ハッハッハッハッハ!! 面白い!!お主は今までの輩とは違うようだ‼ お主ならそれなりに楽しめそうじゃの……そうじゃな……餞別として向こうに行く際に二つ願いを叶えてやろう!! 何でも言って見よ!!」


へ~、二つねえ……っておい。



「待て待て、行くのは決定なのか?」


「死んでもいいなら行かなくともよいが?」


俺はその時悟る。


絶対今こいつの表情が分かるなら滅茶苦茶いい笑顔が見れるだろう、と。



「流石死神、軽い脅しが笑えない。そこに痺れもしないし憧れもしない」


「なんじゃ? それは? こちらの言葉遊びのようなものか?」


あ、やべ、口に出てたか。



「まあそんな所だ。で、とりあえず聞きたいんだが」


「なんじゃ? それくらいなら幾らでも構わんぞ?」



「向こう……ってもよく分かんねえけど、こっちとは何が違うんだ?」


「そういえば言っておらんかったな。あちらではこちらで言う所の科学は殆ど発達しておらぬ。精々石を組んで家を建て、籠と服を編む程度じゃな。が、戦の術と魔術はこちらとは比較にならん程進んでおるぞ」


魔術……あ~成る程


要するに


「剣と魔法のなんたらかんたらってやつか」


「? よく分からんが……まあ納得しておるなら別によいか」


とりあえず知識やらは向こうで集めるからいいとして


「んじゃあ願いはある程度決まったから言うぞ」


「うむ」


俺が願うのは


「魔力……があるならそれを大量に持った状態でコントロール出来るように、二つに感じるならコントロールだけでいい。それと……」



「それなら一つで事足りるが……残りはなんじゃ?」




それは勿論




「俺の……






足を治してくれ」



「……良かろう」


この時俺は、場違いにもこう考えていた。


久しぶりに長く会話したなあ……と

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