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第四話 限られた幸運

※キャラクターのしゃべり方、口調は作者のイメージです。


キャラクターファイル


森近霖之助


未知のアイテムの名称と用途が判る程度の能力


弾幕戦には参加しない


ミニ八卦炉のない魔理沙に新しいマジックアイテムを作る予定。

「まさか本当に外の世界だったとは…」


 魔理沙がようやく落ち着き、二人の体力が戻ったところで霖之助が切り出した。

 結局二人は右も左もわからない場所を夜に歩き回るのは危険だと判断して夜が明けるのを待つことにした。


「みたいだな、そう言われるとなんか空気に違和感を感じるぜ」


 八雲紫からのグリモアを読んだ魔理沙はここが幻想卿ではないと認めた。そして少しだけわくわくしていた。あれほど奇妙な道具があるこの外の世界にはまだ見たことも無いようなマジックアイテムや本、テクノロジーがあるはずだ。どうせだからそれらを大量に幻想卿に持ち帰ってやろう。

 と外の世界に来ても泥棒根性の抜けない魔理沙だった。


「なにニヤついてるんだ?」


 この外の世界という右も左も分からない危険な場所でにひひと一人で笑い出した魔理沙を見て霖之助が真剣に心配した。



「本当、何かいい事でも思いついたの?」



「いや別に何も…って香霖、逃げろ!!」


 魔理沙が言うと同時に近くの足場から桃色の球体が浮かび上がった。それらは跳ねながら二人に襲い掛かる、本日二度目の奇襲だった。


「く、息つく暇も無いな」


 霖之助は低い大勢で近くの茂みに身を隠した。早くも隠れることが板についてきた男である。


「おわっと!ぬわっ…」


 魔理沙も動揺はしたもののなんとか跳ねる球体を避け切った。伊達に異変解決者を名乗っているわけじゃない。


「不意打ちとは卑怯だぜ、てゐ」


 身体中が土まみれになった魔理沙は竹にもたれるように立っている因幡の兎を睨みつけた。


「げげ、仕留めれなかった…まずいなぁ、逃げよっかなぁ…」


 てゐは無傷の魔理沙をチラチラと見ながらこっちの様子を伺っている。

 魔理沙はルーミアとの戦いで消耗した体力がまだ回復していないからこのままてゐが逃げてくれたほうがありがたい。


「別に見逃してやってもいいぜ、ただし次に弾幕を撃ってきたら本気で潰すぞ?」


 魔理沙は出来るだけ声に渋みをきかせて脅した。さっきのルーミアと違って、てゐは弱くない、そして狡猾な奴だ。ミニ八卦炉抜きで勝てないことも無いが出来れば相手にしたくない。恐らく一機もっていかれるだろう。


「おぉ怖い怖い…こりゃ言葉に甘えてずらからせてもらおうか」


 そう言うとてゐはそそくさとその場を後にした。

 どうやら一難去ったようだ。


「ふぅ、何とか戦わずにすんだか…」


 魔理沙は大きく息を吐きその場に腰を下ろした。


 そしたら地面を突き抜けた。


「なにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」


 座った先に地面の感触は無く、ただ大きな穴が開いていた。つまり、落とし穴だった。

 掘ったのは間違いなくてゐだろう。


 ドスン!


「うげっ」


 ようやく底に着いた場所は地上から10メートルも下だった。


「うわぁ…かかった……暇つぶしに掘った穴なのに」


 近くの茂みからひょこっと顔を出したてゐは驚いたような顔で魔理沙の落ちた穴を見た。

 別に狙って掘っていた穴ではないだけに少し肩透かしを食らった気分である。

 しかし油断は出来ない、なんたって幻想卿の住人は当たり前のように空を飛ぶのだ。落とし穴なんてかかるほうが珍しい。


「てめぇ!!てゐ、やりやがったな!」


 穴からエコーのかかった魔理沙の怒声が聞こえる。当然だろう。


「やばいな~怒らせちゃったか、早く逃げちゃお」


 てゐはそう判断し脱兎のごとくその場から逃げ出した。



 一方魔理沙は


 くそう!今箒が無いから飛べないんだよ!!

 穴の中で地団太を踏んでいた。

 それでも弾幕が上から降ってこないからてゐはもういないと判断し、どうやって穴から脱出しようか考え始めた。


 そして蚊帳の外の霖之助は


「もう行ったかな?」


 まだ茂みの中で隠れていた。

 さっき魔理沙の声が何故かエコーがかかっていたのも気になるし、ここから出るか。

 ガサガサと茂みから出ると目の前に半径60センチメートル程の穴が開いていた。底が深いのか、覗き込んでも真っ暗である。

 と、そんなことよりも重要なことを確かめるため辺りを見回すと


「魔理沙がいない?」


「ここにいるぜ」


 穴の奥から声がした。


「え?その中にいるのか、魔理沙」


 霖之助は再度、穴を覗き込んでみるが何も見えない。


「そうだけど、香霖がそこにいるってことはもうてゐはいないんだな」


「ああ、どうやらどこかに行ったようだ」


「くそっ!舐めやがって…今度見つけたら尻尾と耳を引きちぎって兎鍋にしてやる」


「そんな物騒なこと言ってないで、そこから出たらどうだ?」


 霖之助は穴から出てこようとしない魔理沙を不審に思うとそっけない返事が返ってきた。


「出たくても出れないんだよ、箒が無いから飛べないんだ」


 なんだって!とすると魔理沙はこの穴からどうやって脱出させればいいんだ?

 それにさっきの兎がまた戻って来ないとも限らないし。


「魔理沙、何かロープになりそうなものを探してくるよ」


「悪いな、頼むぜ」


 魔理沙は悔しそうに言うとそれっきり黙り込んだ。

 今香霖がロープを探して来てくれると言ったがこの竹林で10メートル以上の物を見つけるのはひどく困難だろうから期待はできない。


 となると、頼れるのは……


「この触媒とグリモアだけか…」


 魔法で指先に小さな明かりを灯すとその場に腰をおろして、触媒を周りに広げてみた。

 が、弾幕として使う爆薬が主で、ロープの代わりになるような物はない。


 どうしたものか?


 役に立つ気はしないが魔理沙はグリモアをぺらぺらとめくってみるが、さっきのページ以外に読めるページがなかった。


「燃やしたくなってきたな、この本」


 むかつくので燃やしてやりたいがそんなことをすればただでさえ空気の薄いこの穴の中の酸素を一気に燃やしてしまい一酸化炭素中毒でオダブツだ。幻想郷の住人だってそのくらい知っている、突っ込みは無しだぜ。


「あれ?ここだけ読める…」


 最後までめくると巻末に読める字で『巻末付録』と書かれていた。



キャラクターファイル


因幡てゐ


人間を幸運にする程度の能力


スペルカード「開運大紋」「因幡の素兎」「フラスターエスケープ」

知らないうちに様々な人間を幸せにしてしまう。霖之助も直前にてゐを見たおかげでルーミアの弾幕の直撃から逃れることが出来た。


肌色のグリモア

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