第三話 仕組まれたバトル
キャラクターファイル
霧雨魔理沙
魔法を使う程度の能力
通常弾幕「マジックミサイル」、「イリュージョンレーザー」など
オプション「オーレリーズサン」
属性魔法「コールドインフェルノ」
スペルカード「スターダストレヴァリエ」
ミニ八卦炉が無いため、強力なスペルカードの使用不可状態
黒のグリモア
魔理沙が目を向けた先では霖之助が倒れていてピクリともしていなかった。服も一部焦げていて、明らかにさっきの弾が直撃していたことを証明していた。
「何でだよ…なんでお前が私を庇って……」
魔理沙は霖之助のもとへ駆け寄る、そしてその身体を何度も強くゆするが反応は無い。
「…目を覚ませよ……こーりん……」
魔理沙は両目からぽろぽろと涙をこぼす。霖之助はまだ魔理沙が実家にいた時から会っていた。
香霖は親父の手伝いをしながら時間の空いたときによく面倒を見てくれていた。そして香霖が人里から離れて森の中に妙な店を出してからも私が実家を出て一人暮らしを始めてからも何かと助けてくれて、ミニ八卦炉をくれた。
過去の記憶が魔理沙の脳裏に走馬灯のように流れた。そしてありったけの力を込めて
「起きろよっ!香霖!!」
霖之助の頬を引っ叩いた。
「痛いぃっ!!!!!!!!!!」
それで霖之助は目を覚ました。
「えぇぇぇぇぇ!?」
勢いよく飛び起きた霖之助を見た魔理沙はポカーンとした。頬を押さえてのたうちまわっている無様な姿を十数秒ほど眺め、やっと霖之助が無事だったということに気付いた。
「なんで…直撃したのに…」
ようやく痛みが引いたのか、霖之助は真っ赤に手形がついた頬を押さえながらしばらく考えた。
「…そういばなんで平気なんだ?僕は」
霖之助が直撃した箇所を見てみると服が焦げていて、そこから黒い物がのぞいていた。
「これは…グリモア(魔導書)?」
服の内側に何故か入っていた例の黒いグリモアが霖之助を弾幕の直撃から守っていた。これもスキマに飲み込まれた際に持っていたものだ。
「何なんだよ…その本、あの弾幕で傷一つついてないなんて…」
魔理沙は霖之助の無事に安心しつつも、そのグリモアに不気味さを覚えた。
「僕にもよく分からないけど……どうやら持っててよかったみたいだ…あれ?」
霖之助はそのグリモアを何気なくページを捲っていると、とあるページで手が止まった。
「どうした?香霖」
魔理沙は服についた土ぼこりをパタパタとはたきながら急に黙った霖之助を見る。
「…読める…このページだけ…」
「は?」
「ぜんぜん読めなかったのに、何でか解る……え?」
「なんだよ香霖、一体何が書いてあんだよ!?」
煮え切らない霖之助に魔理沙は詰め寄り、横から黒いグリモアを覗きこんだ。
そして信じられないような内容を目にする。
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《だんまくのしおり》
みなさんちゃんとこのしおりを読んで、準備を怠らずに「幻想卿弾幕合戦」に参加してくださいね♪
時 ――――のお昼前
場所 幻想卿の外の世界
準備物 スペルカード
おやつは三百円まで(茸はおやつに含まれない)
ルール みなさんには死力を尽くして弾幕戦をしていただきます。しかし建造物の破壊や著しく地形を変化させてはいけません。この慣れない外の世界のマナーとルールを考慮しながら戦ってください。なお残機は二機とします。条件次第では増えたりしちゃいますわ。残機が無くなった者はこの幻想卿弾幕合戦が終了するまでスキマに退場してもらいます。そして最後まで勝ち残った方には豪華景品を用意しておりますわ。是非勝ち上がって豪華な景品を勝ち取ってくださいね。
幻想卿弾幕合戦立案 八雲 紫
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「っざけんな!!」
魔理沙はグリモアを力いっぱい叩きつけた。
こんな奴の娯楽のために香霖は危険な目に遭ったのかよ……
「許せねぇ…あのスキマ妖怪…絶対にぶっ飛ばす」
魔理沙はこぶしを握り締めて夜空を見上げた。
「八雲紫!!首を洗って待ってやがれ!!!」
~スキマ空間~
「さて…まずルーミアが退場ね…あら?大妖精と小悪魔も…さすが霊夢、景品がかかると強いわね、でもこのペースならまだあせる必要はないかしら?」
スキマ空間でこの事件の首謀者八雲紫は小さく笑む。
「まぁ予定が早まれば、あなた方達にも出ていただきましょうか」
その空間にはただ一人の声が妖しく響いていた。
彼女の見つめる先にはまだスペルカードの無い時の幻想卿が映っていた。
キャラクターファイル
ルーミア
闇を操る程度の能力
通常弾幕「光弾」、「レーザー」など
スペルカード「ナイトバード」「ディマケーション」など
性格は幼く、それゆえに残酷な一面がある。この物語では再登場の予定無し。
藍色のグリモア