夢の話
少女は家にいた。椅子に腰掛け、その金色の目には漆黒の髪をした青年が写っていた。今しがた言われた言葉を脳内で整理してみたが、確認のためにもう一度聞いてみた。
「あの、なんて?」
「だから結婚しようといったのだ」
一瞬の沈黙のあと、少女は大きく身を引いた。
「え?あの…えぇ?!」
椅子から立ち上がり、あたふたと意味もなく手足を動かす。青年は済ました顔で続けた。
「既に準備は出来ている、受けてくれるね?」
今まで見たことのないような爽やかな顔で見つめられ、少女は口ごもる。
「え、ええと」
「そうか、ありがとう。それじゃ早速行こうじゃないか」
そのまま少女の手をとると、青年は颯爽と歩き玄関のドアを開けた。するとファンファーレが鳴り響き、紙ふぶきが舞った。玄関からは赤い絨毯が伸び、その先には祭壇と神父がたっていた。両脇には見たことのある顔ぶれが並び、皆笑顔で拍手していた。
二人が祭壇の前まで歩くと、神父が口を開いた。
「ええ〜、汝……」
ちょっとまった、と大きな声が割って入り、参列者は皆そっちの方を向いた。何の冗談か。やたらとリアルな犬の被り物を被った男がスーツを着て、更に花束を持っている。
その花束を青年に剣のように突きつけた。
「その人の花婿には私こそがふさわしい!」
参列者が驚きに目を丸くしていると、青年は不適に笑う。
そして男の前にすっと歩み出た。
「面白い。どちらが花婿にふさわしいかここで決着をつけてやろう!」
ぬいぐるみの男が花束を振りかぶると、気合を入れながら青年に飛び掛った。青年は軽やかにそれを交わすと、服に手を入れると、そこから拳銃を取り出し、何の躊躇もなく男の足を打ち抜いた。
悲鳴を上げて男が倒れこむ。
「クッ、卑怯者め……」
青年は煙の出る銃口を吹き消し、高らかに笑った。
「勝てばいいのさ!これで俺の勝ちだ。」
青年は両手を広げると大きく笑った。
「って夢を……」
「見るな。見ても話すな」
漆黒の髪の青年は頭を抱えて机に突っ伏した。
「しかも二度目です」
「……勘弁してくれ」
テストに追われ、きりきり舞(死語)の涼です。
やってしまいました夢オチ。ごめんなさい。
でも最初のほうで既に想像つきますよね?
時間がないので今日はこの辺でサヨナラ〜。