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対等

 その後は二人で、店を冷やかしたり、ウインドウショッピングをした。途中、数々の品に目を輝かせる伊織にプレゼントしてあげる、と言ったが、丁重に断られた。欲しそうに見ていた物もあったが、一度断られたので、二度目は言えなかった。

 悠二たちは、そのままそのデパートで夕食をとることになった。入った店は2階にあるパスタの店だ。混雑していて、多少待つことになった。

 30分ほど待っただろうか、ようやく店員から声がかかる。

 「大変、お待たせしました。席の方にご案内させて頂きます」

 言われるがまま店内に入る。店内はシンプルで余計な装飾がされていない。その代り、照明の配置や色にはこだわりがあるようで、なかなかの雰囲気を出していた。

 「結構、雰囲気いい店だね」

 「確かに。俺も好きだな。こーいうの。でも、味はどうなんだろう」

 「それは重要だよね。きっとおいしいよ!」

 どっから来るんだろう、この自信は。まあ、店の感じを見る限りでは、上手そうだった。

 店員が注文をとりに来る。悠二は、無難に紅茶とナポリタン、伊織はミルクティーとカルボナーラを注文していた。

 それから、店員が料理を持ってきたのは、15分後のことだった。

 悠二は目の前の料理を見て、喉を鳴らしてしまった。それは伊織も同じだったらしく、顔を合わせて笑った。

 期待通りと言うべきか、料理は見栄えが良く、味も最高だった。特にパスタとの絡みが絶品としか言いようがない。悠二は密かに、ここに通うと決めたのだった。

 あっという間に平らげた後は、残った飲み物を飲みながらの優雅なひと時だ。

 「おいしかったね〜」

 「うん、最高だった。海津、この店知ってたの?」

 雑誌で載っていてもなんら不思議はないので訊いてみる。

 「ううん、今日初めて知ったよ」

 「じゃあ、ラッキーだったってことか」

 「まあ、そういう事になるかな」

 先に紅茶を飲み終わった悠二は、空になったグラスに残っている氷をストローでかき回している。行儀が悪いんだろうが、気にしなかった。なんとなくやってしまうのだ。

 伊織はというと、少しずつ、ミルクティーを飲んでいる。その姿は、なんだか様になっていた。

 伊織が飲み終わり、一息ついたところで伝表を取り、立ち上がった。

 「あっ!」

 伊織が急に声を出したので、驚いて振り返る。その顔からすぐに、言いたいことが分かった。

 頼むから、そんなむくれた顔をしないで欲しい。

 「……割り勘。でしょ?」

 にこっとして、元気に答える。

 「うん」

 どうやら、二人は対等、ってことにしたいらしかった。それは、それで構わない。

 割り勘で会計を済ませ、デパートの外に出たのだった。


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