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金の悪魔と金の天使  作者: 活字中毒
リーンテアの森編
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Lv.006『俺ら妖精は数が少ない』


 アルヴェディアには五つの種族が存在する。国も五つあるけど、一つの種族に一つの国というわけではない。人間があまりに多すぎるからだ。大陸の人口の約六割から七割が人間らしい。王家も、北のカンルド王国以外全て人間だとか。


 だからといって、人間ばかりが偉そうにふんぞり返っているわけでもない。一部の頭の残念な貴族はそうかもしれないが、平民達はフレンドリーだし、人間でない種族には冒険者が多いから商人も友好的だ。冒険者は命のやりとりをする分収入が良いからね。商人にとっては大切な客なのだ。


 頭の出来が良い上の連中は、人間以外の種族に反乱でも起こされたらまずいとわかっているので、きちんと人権を認めている。何て言ったって、一番弱いのは人間なんだから。数は圧倒的に多いが、そのせいで他の種族のような同族意識がなく、まとまらない。欲が深いから保身に走る。魔道具を作るのは一番上手いが、たとえ勝てたとしてもかなりの痛手になる事は必須だ。


 そういうわけで、一部の馬鹿と闇商人以外は差別や人身売買なんてしない。何せ、どの国でも法律で禁止されているからね。妖精狩りなんてのも違法なんだよ。なくならないけど。




 さて、それぞれの種族の特徴だけど、人間は大体地球と同じ。違うのは目がチカチカするぐらい髪や目の色がカラフルな事。あとは、背が高いらしい。成人した男の平均身長が百八十後半。女は百七十の中頃だ。寿命は八十くらい。魔術があるからかな。


 竜人は基本人間と同じ姿。でも、竜の姿にもなれる。モンスターのドラゴンと違って魔法は使えないけど、身体能力が半端なく高い。たぶん建物なんて拳一つで壊せるんじゃないかな。生まれてから何よりも先に力の加減の仕方を習うそうだ。それから魔術が使えなくても、ブレスは使えるようだ。ただし、人型の時は威力が弱まる。竜体の時の大きさでモテるモテないが決まるとか。戦う時にしっぽだけ出す時もあるが、邪魔になるので基本はしまっている。髪の色は必ず原色で、鱗の色と同じだ。瞳は金。それ以外はないらしい。竜人の男は基本がっちりした体つきで、身長は百九十から二百三十くらい。女はスタイルの良い人が多くて、身長は百八十から二百くらい。


 魔族は背中にコウモリのような羽がある種族だ。色は黒、紫、赤などがある。どれも暗い色だ。羽は飛ぶ時以外しまっておくのが普通である。肌は浅黒く、耳は尖っている。髪の色は白っぽいものが多く、瞳は赤、紫、金など。黒魔術が得意で魔術攻撃力もあるが、妖精ほどではない。物理攻撃力も竜人の次に強いとか。人間よりやや小柄。


 翼族は鳥のような羽を持つ種族で、色は白系の薄い色だ。魔族と同じように、基本はしまっている。真珠のように白い肌に、やはり尖った耳。髪は金髪や薄いピンク、水色など。瞳は大抵が青、緑、橙。妖精ほどではないが白魔術に秀で、回復や補助の魔術が得意。魔術防御力は非常に強いが攻撃力が皆無。完全に後方支援系。攻撃の術は持たないが、鉄壁の防御を誇る。身長は魔族と同じかそれより小柄。


 妖精は前にも聞いた通り、魔術に特化した種族だ。ゆえに、弱点は竜人。逆もまた然りである。耳が尖っていて、髪や瞳は何色でもありうる。僕らは肌も白いから、妖精か精霊でないと翼族と間違えるだろうとの事。


 妖精の弱点はもう一つあって、それは羽であった。ゲームの設定ではなかった事だけど、妖精は自己回復力がすごくいい。小さな切り傷ぐらいだと一秒も経たずに治ってしまう。それは吸収した魔力を羽に溜め込んでいるからで、その魔力を使って体が勝手に治している。だから魔力は消費されてしまうんだけど。


 妖精は魔力を体と羽に分けて保存している。普段使うのは体の方だし、こっちが減ると羽の方がいっぱいでもおなかが減る。羽の魔力は自分が怪我をした時や、緊急用だ。そのため、羽がなくなれば自己治癒もなく、魔力は半分になってしまう。魔力の減った量とは即ちおなかのすいた量で、魔力が底をつきると餓死してしまうのだ。妖精は生きるだけで魔力を消費するため、羽のない妖精は死亡率が格段に上がる。妖精の数が減った最大の理由であった。




「最近は妖精を生かしたまま捉える場合が多いがな」


「どうして?」


「体と羽を離すと、魔力が少しずつ抜けていくんだ。そのせいで、羽はだんだんくすんでいく。それなら見目麗しい妖精を鑑賞用として飼っておく方がいいだろう?」


 立夏がぶるっと震えた。


 おそらくそうなった場合、妖精は自由を失うだろう。魔力は与えられるし、生きてゆくのに不自由はないだろうが、心が死んでしまいそうだ。


「今もそういう子がいるの?」


「あぁ。大抵が有力貴族だから、助けようなんて奴はいないだろうしな。俺ら妖精は数が少ない」


 今は散らばっている同族を見つけるのも難しいのだそうだ。


「もし助けるって話が出たら、お前らも手伝ってくれ」


 そう言うラバトの目は、別人かと思うほど真剣だった。



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