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金の悪魔と金の天使  作者: 活字中毒
リーンテアの森編
13/32

Lv.012『僕達の第二の家族だから』

あと少しでリーンテアの森編が終わります。


「へぇ、ドラゴン?初めて見た!」


 立夏は興奮した様子で目をキラキラと輝かせた。


「ね、ドラゴンの姿も見てみたいんだけど!」


「私はかまいませんが……」


 クロードがこちらを見たので、僕は頷いた。立夏のためなのだから当然だ。


「では」


 僕らから少し距離を置いた場所に立つと、クロードはドラゴンの姿になった。葡萄色の鱗は、いつ見ても美しい。


「うわぁ……ラバトが喜びそうだね」



 いや、ドラゴンを初めて見た感想がそれなのか。まぁ、僕も思ったけど。



「本当にゲームとかのドラゴンみたいな姿なんだね。面白いなぁ」


「違うかったらそれはそれでビックリだけどね」


 僕らの仮説ではゲームの“アルヴェディア”にそっくりな世界の三百年後なんだから。


「触ってもいい?」


『触るぐらいなら……でも、乗らないでくださいね。契約者以外は乗せたくないのです』


「それって、ドラゴンは皆そうなの?」


 立夏がツルツルした鱗を恐る恐る触っているのを横目で見ながら、僕はクロードに尋ねた。


『契約済みのドラゴンはそうですね。それ以前は性格にもよります。私の場合は必要でない限り無闇矢鱈と触ってほしくないのですが、立夏さんは雨水様のご兄妹ですから、特別です』


「それなら雨水に感謝しないとねー。ドラゴンに触るとか貴重すぎる体験だよ」


 満足したのか、僕の隣に戻って来ながら立夏が言った。クロードは人型に戻り、やわらかい笑みを浮かべる。


「私は雨水様に出会えて幸運でした。古代竜は契約しても力を制限されてしまったり、そもそも契約自体できない場合も多いと聞きますから」


「って事は、大体の力は出せてるの?」


「はい。八割ほどでしょうか。私達古代竜は天界では全力を出せるのですが、地上では半分も出せないようです。おそらく、きちんと契約すればほぼ百パーセント出しきれるのではないでしょうか」


「うわぁ、雨水すごいんだね」


「立夏さんも雨水様ほどではありませんが、召喚魔術師の素質があるようですよ。妖精だからではなく、個人として」


「わかるの?」


「はい。なんとなくですが。立夏さんの場合、どちらかというと精霊魔術の方が相性が良いのではないでしょうか」


「精霊魔術かー。誰か契約してくれないかな?あ、でも仮契約はすごく失礼なんだっけ」


 そう。僕はクロードの方から頼まれたんだし、その場の成り行きで契約してしたから仕方なかった。でも、こちらから持ちかけておいて仮契約しかできません、なんて「ふざけるな!」と言われても文句は言えない。それくらい、契約は重要なのだ。


 ちなみに、世間一般では幻獣――魔獣や聖獣、神獣の総称――や精霊との契約は一匹までとなっている。ゲームではそんな事なかったけれども、ここではそうだ。


 だけど、多分まだまだいけるよ。何というか、感覚としか言えないんだけどわかる。古代竜だから半分近く埋まっちゃったけど、逆に言えば半分ある。


 ……やっぱりチートじゃない?


 きっと立夏も同じような感じだろう。旅をする時は気を付けないと大変な事になりそうだ。


「相手が事情を理解して仮契約でもいいと言えば大丈夫です」


「なるほど。初めから言っておくわけね」


「というか、それならここの精霊に頼めばいいんじゃ?」


「あ、そっか」


 立夏は思いつかなかったようで、マンガのようにポンと手を打った。それがおかしくて少し笑ってしまう。


「確かにレソトは皇位精霊だし、ユーランも高位精霊だよね。フィジー達は知らないけど、たぶん高位でしょ」


「そうでなければあの知性や強さの説明がつかないからね」


 わかりきっている事なのでわざわざ聞きはしなかったが。


「でもねぇ、あんまり契約したくないんだよね。レソト達とは」


「なぜですか?その者達なら事情も知っているのでしょう?」


「そうなんだけど、やっぱり仮契約は申し訳ないっていうか……これは他の精霊でも同じなんだけどね。あと、あの人達なら契約しなくても困っていたら飛んで来てくれそうだなぁっていう妙な安心感もあるんだよ」


「あー、わかるかも、それ」


 僕も頷いた。なんだかんだ言って、過保護なところがあるからね。まだ森の魔物を上手く倒せなかった時、スパルタながらもついつい手を出してしまっていたのを知っている。本人達はこっそりやっているつもりだったみたいだけど。


「信頼されているのですね」


「信頼……うん、そうだね。僕達の第二の家族だから」


 僕が言うと、立夏は同意するように頷いた。



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