13・クマとドングリ
ある秋の晴れた日、ぽーは赤い葉っぱの森の上を飛んでいました。
「赤い葉っぱの森って、きれいだなあ」
すると、木と木の間を、大きな動物がのっしのっしと歩いていました。
「あれ……? なんか大きなどうぶつがいるぞ」
ぽーは森の中へと入っていきました。
体中が黒色の毛でふわふわした、大きな動物が歩いていました。
「あっ、あれはクマさんだ!」
ぽーは、絵本で見たクマを思いだしました。
「こんなところにもいるんだ!」
大きなクマの後ろには、二匹の小さな子グマがちょこちょこ動いていました。
「かわいいなあ。親子だよね。なにしてるんだろう?」
すると……
「おかあさん、おなかすいたよぉ」
「おなかペコペコだよぉ」
「あれ……? なにを言っているのか、わかるぞ!」
「もう少し待っててね。今、探してあげるからね」
母親のクマが、子グマに言いました。
よく見ると、母親クマはとても痩せていました。
「もっと、あっちのほうでさがそうよ」
子グマは人の家のある方向に走りだしました。
「ダメよ! そっちに行くと、人間に追いかけられてしまうよ」
「だって、おなかすいたもん」
子グマは、今にも泣きそうでした。
「かわいそうだな」
「ドングリ、ぜんぜんないね、ママ」
「ドングリ? そうか、ドングリをさがしてるのか!」
この時、ぽーは木の妖精のことを思いだしました。
「あの時のようせいさんは、ブナの木だって言ってたな」
ぽーはブナの木を探し始めました。
しばらくすると、たくさんのドングリがついた大きなブナの木を見つけました。
「やったぁ、これだ!」
ぽーはクマの親子のところへもどりました。
母親クマは、疲れとお腹のすかせてフラフラしていました。
「どうしたらいいんだろう。せめて子どもたちだけでも……」
ぽーは子グマにトントンと触りました。
「ん……? なんだろう?」
「ボクは、ぽーって言うんだ。こっちに来て」
子グマの目にはぽーの姿は見えませんが、声は聞こえるようです。
「ぽーさんが、こっちに来てって言ってるよ」
「あぶないわよ!」
「だいじょうぶだよ、ママ。やさしい男の子の声だよ」
親子のクマは、大きなブナの木の近くまでやってきました。
「みんな、ここでまっててね」
ぽーが枝をゆらすと……
ゆっさゆっさゆっさ
ばさばさばさ
ひゅー
ぼてぼてぼて
たくさんのドングリが落ちてきました。
「うわぁ♪」
「やったぁ♪」
子グマたちは、ぼりぼりとドングリを食べ始めました。
「ぽーさん、ありがとう。これで安心して、寒い冬を眠って過ごせます」
母親クマは、子グマの食べる姿をうれしそうに見ていました。
「よかったね。春になったら、また会おうね」
「ありがとう、ぽーさん!」
「あたたかくなったら、あそぼうね!」
子グマは、空に向って元気よく手をふっていました。
カラーン♪ コローン♪
やさしい鐘の音が、雲の上の教会から鳴っていました。
「なんか、みんなが食べてるのを見てたら、ボクもおなかすいちゃったよ。
かえって、おやつ食べよっと♪」




