12・てがみ
ある日の朝、ぽーはコロの家で話していました。
今日は小学校がお休みの日。
あすかも家にいるので、コロは外に遊びにいけません。
でも、ぽーとコロはとっても楽しそうです。
「あははっ。おなかがすいてて、お米と石をまちがえて食べちゃったの?
それはたいへんだったね」
「わわん♪」
「ごはんは、ゆっくり食べないとね」
「わん」
ガチャ
ドアが開いて、あすかが出てきました。
「コロは今日もげんきだね……」
「わん」
「ん……? あすかちゃん、どうしたんだろう?」
ぽーは、あすかの様子がおかしいことに気づきました。
「なかよしのお友だちが、ひっこしちゃうの……」
あすかはそう言うと、悲しそうにコロの頭をなでました。
「くぅーん」
「そうか。あすかちゃん、かわいそうだね」
「よし、コロ。お友だちにおわかれに行くから、いっしょについてきてくれる?
おてがみもわたしたいし」
「わんわん」
ぽーも、あすかについていくことにしました。
「小さいときから、ずっとななちゃんといっしょだったな。コロもたくさんあそんだよね」
「わん」
あすかとコロが話しながら歩いていると、いきなり男の子の自転車がすごいスピードで走ってきました。
「あぶないっ!」
ぽーは、あすかとコロを道の端っこへ押しました。
なんとかギリギリ、自転車とぶつかりませんでした。
「あー、あぶなかった。ごめんよ」
男の子は、そのまま走り去ってしまいました。
ぽーはその男の子を追っかけると、「ダメだぞ、あぶないな!」と言いながら頭をコツンとしてやりました。
「いたたっ! あれ……なんだろう?」
男の子は、きょとんとした顔をして行ってしまいました。
「あぶなかったね、コロ。だいじょうぶだった?」
「わん」
「コロが押してくれたんだね、ありがとう」
「わん、わんわん」
コロは、ちがうよ押してくれたのはぽーだよ、と言いました。
「ふふ、いいよ」
そして、あすかとコロはまた歩きはじめました。
でも……道路には、あすかがななに書いた手紙が落ちたまま……。
しばらくすると、ななの家につきました。
ななのパパが、たくさんの荷物を車にのせていました。
「あ……っ、あすかちゃん」
「こんにちは」
「ちょっとまってね。おーい、なな。あすかちゃんが来たよー」
「はーい」
ななも元気がありません。
「ななちゃん、おわかれだね」
「うん……。今まで、どうもありがとう」
二人の目に、涙があふれてきました。
「ぐすん」
ぽーも、ななのパパも泣いています。
「じゃあ、なな。そろそろ行こうか。あすかちゃん、ごめんね」
「じゃあね。ななちゃん」
「今まで、たのしかったよ。ありがとう、あすかちゃん」
「うん、これを……、あれ?」
あすかは、カバンもポケットもあわてて探しました。
「てがみ……がない」
「あっ、きっとさっきの自転車のときだ!」
ぽーは急いで先ほどの場所まで飛んでいきました。
そして、道路に落ちていた手紙をひろいました。
でも、ぽーがもどってくると、ななの車はもう行ってしまいました。
あすかは、うずくまって泣いていました。
「コロ、これ!」
コロがほえると、あすかは手紙に気づきました。
「あ……っ、てがみ! コロが見つけてくれたの?」
「わん」
いや、ぽーだよ、と言っていますが、あすかには分かりません。
「でも……、どうしよう、これ」
「わわわん」
まかせといて、と言うと、コロはダッシュで走っていきました。
ぽーも追いかけました。
しばらくすると、ななの車が信号でとまっていました。
「わん、わん!」
コロの声に、ながが気づきました。
でも、車は動きだしてしまいます。
「コロ、ボクにてがみを渡して!」
ぽーはコロがくわえていた手紙を受け取ると、ななの車に向かって飛びました。
少し開いた窓から、手紙を入れました。
「あっ、あすかちゃんのてがみだ!」
ぽーとコロがあすかのところにもどると、あすかは涙を流しながらコロを抱きしめました。
「コロが、ななちゃんに届けてくれたの? ありがとう!」
「よかったね、あすかちゃん。
――あっ、でも今日はちょっとむりしちゃったな。
早くワポの実を食べにかえろうっと♪ じゃあね、コロ。バイバイ」
「わん、わん」
今日も、カラーン♪ コローン♪と、やさしい鐘の音が、雲の上の教会から鳴っています。




