1・ぼうけんの始まり
まっ白な雲の上には、たくさんのおばけたちが住んでいました。
昼には太陽の温かい光を浴び、夜になると星や大きな月を、すぐ近くで見ることができました。
今日も、雲と雲の間から大きな太陽が上がってきました。
ぽーのママが、まだ眠っているぽーをそっと呼びました。
「ぽー、ほらっ、起きなさい」
「んん……ん。おはようママ」
「ぐっすりねむれた?」
「う……っ、うん」
「パンを焼いたから、朝ごはんを食べなさい」
「うん、ありがとう」
もぐもぐ もぐもぐ……
ぽーは朝ごはんを食べながら、ママに話しかけました。
「ねえ、ママ。ボクも雲のかいだんをおりて、雲の下を見てみたいな」
ママはしばらく考えてから、やさしく言いました。
「じゃあ……、ママが言うことを約束できるなら、行ってもいいよ」
「やくそく?」
「そう、約束。ぽーにはね、『特別な力』があるの。
私たちおばけは、雲の下にある物に触ることができないの。
でもぽーは、『触りたい!』と強く思えば、雲の下の物にも触ることができるのよ」
「なんだかたのしそう♪」
ぽーは、ワクワクしてきました。
「でもね……、触るたびに、ぽーの体はどんどん小さくなってしまうの。
そして……消えてなくなってしまうのよ」
ぽーは、ブルブルとふるえました。
「だから、三つの約束をしっかり守るのよ。
まず一つ目、たくさん何回も触らないこと。
二つ目、触る時間は少しだけにしてね。
そして三つ目は、おやつの時間には家に帰って、ワポの実を食べること。
この三つ。わかった?」
「わかった! やくそくする!」
「じゃあ、雲の階段の扉を開けるね」
「やったぁ♪」
ママとぽーは、雲の上にある木の扉のところまでやってきました。
ママはカギで、その扉をゆっくりと開けました。
ギッギッギー
「あ、そうだ。ぽー。
雲の下の人や動物たちには、私たちおばけは見えないの。
いきなり触るとビックリするから、気をつけてね」
「わかった! じゃあ、行ってくるね。ママ」
「行ってらっしゃい、ぽー」
ママは、ニッコリ笑って手をふりました。
ぽーはワクワクしながら雲の階段を下りて、空へと飛んでいきました。
さあ、ぽーの小さなぼうけんの始まりです。




