1話 処分対象
この世界では、人は生まれながらに役割を与えられる。
勇者、聖女、王、魔王――役割を持たない者は、処分対象だ。
そして俺、ノアもその一人。
俺の能力は、触れた相手の“死に方”だけが見えるというもの。
救えなくても、終わり方くらいは選ばせてやる――それだけだ。
「――役割を持たない者は、処分する」
司祭の声が広間に落ちた瞬間、俺は見てしまった。
**彼の“死に方”**を。
火でも刃でもない。
群衆に背を向けられ、誰にも看取られず、静かに息が止まる未来。
……ああ、なるほど。
この世界は、正しい順番で人を殺すらしい。
俺の名前はノア。
生まれた時から、役割を与えられなかった。
勇者、聖女、王、魔王。
この世界では、物語に必要な役割を持つ者だけが守られる。
それ以外は“未定義”。
処分対象だ。
「ノア。前へ」
兵士に肩を掴まれる。
触れられた瞬間、兵士の最期が見えた。
老衰。子どもに手を握られている。
……いい終わり方だ。
少しだけ、羨ましい。
俺の能力は、触れた相手の“死に方”だけが見える。
過程は分からない。
変えられない。
救えもしない。
ただ、知るだけ。
だから嫌われる。
気味が悪いから。
不吉だから。
物語の流れを乱すから。
「能力確認」
司祭が水晶に手をかざす。
水晶は、未来を映す道具だ。
だが俺に触れた瞬間、
水晶は――何も映さなかった。
代わりに、司祭の額に汗が浮かぶ。
「……見えない。未来が」
俺は思った。
未来が見えないんじゃない。
最期が決まっているから、過程が映らないだけだ。
「未定義、確定」
司祭が宣告する。
「処分を――」
その言葉が終わる前に、俺は司祭の袖に触れた。
見えたのは、さっきと同じ未来。
だが今度は、少しだけ詳しい。
――民衆は彼を罵る。
――役割を間違えたと責める。
――そして、誰も助けない。
「……やめろ」
司祭が小さく言った。
俺の目を見て、震えている。
「お前、その目……」
「知ってますよ」
俺は静かに言った。
「あなた、英雄にはなれません。
でも悪人でもない。
ただ、最後に一人になります」
司祭は一歩下がった。
兵士たちがざわつく。
「連れて行け!」
叫び声。
腕を掴まれ、引きずられる。
広間を出る直前、俺は振り返った。
司祭は、俺を見ていなかった。
未来から目を逸らすように、床を見ていた。
――ああ。
知ってしまった人間は、弱い。
牢に放り込まれ、鉄格子が閉まる。
暗い。
静かだ。
俺は壁に背を預け、座り込んだ。
「処分、か」
別に初めてじゃない。
ここに来るまで、何度も言われてきた。
「役に立たない」
「物語に必要ない」
「不吉だ」
そのたびに、俺は人の“終わり”を見てきた。
救えなかった。
止められなかった。
でも――
ふと思う。
終わりは変えられなくても、
終わり方くらいは、選ばせてやれるんじゃないか?
誰にも看取られないなら、
俺が見ていればいい。
誰にも理解されないなら、
俺が理解していればいい。
それだけで、
“なかったこと”にはならない。
鉄格子の向こうで、足音が止まる。
「明朝、処分だ」
兵士の声。
俺は小さく息を吐いた。
「……知ってる」
だって、
俺自身の死に方だけは、まだ見えていないから。
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※この作品はAIを使用しています。
こんにちは、maronです。
読んでくれてありがとう!
登場キャラへの印象や感想をコメントで聞かせてくれると嬉しい!
本作は一部文章作成をAI(ChatGPT)と一緒に行っています。




