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私はあの子

作者: 閒中

好きな人を振り向かせたいだけなのに。

好きな人がいた。

好きな人には、好きな人がいた。

私の好きな人が好きな人は、とても可愛い女の子だった。

だから私はその子になろうと決めた。

好きな人に好きになってもらえるように。


その子の後をつけて、同じ物を買って、同じ物を食べて、同じ化粧をして、同じ美容院で同じ髪型にして、同じ服を着て、同じ喋り方をして、同じ笑い方をして、同じ歩き方をして、同じ物を好きになって、同じ物を嫌いになって、同じクセを付けて、同じように生きた。

私は今では元の自分がどんな喋り方や考え方をしていたのか、何が好きだったのかも分からなくなるくらい見た目も中身も完璧にあの子になった。

それなのに、私の好きな人は私を選ばずあの子と付き合った。

私はあの子になったのに。

私はあの子なのに。


私は部屋に引き篭もった。

何日も何日も何日も。

死ぬほど辛くて悲しいのに、私は何故かどうしても泣くことができなかった。


あぁそうか。

私はまだあの子の泣き方を知らないんだった。



〈終〉

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