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自己紹介 -2-
「それで、《《アレ》》は誰が言うの?」
凛が表現したアレに心当たりはない。他の四人に聞いてるみたいだし、俺に伝えることがあるのだろう。
皆が押し黙る。自然に視線が梓さんに集まった。
「いや~、さすがのアタシも言い辛いかな」
すると、次は翆へ。
「……」
次は凛。
「あ、あたしは無理」
次は柚希さんへ。
「私もちょっと……恥ずかしいです」
最後に摩耶へ。
「あ、あはは……」
アレってなんだろう? 分かったのは恥ずかしくて言い辛いことぐらい。
皆はしばらく沈黙すると、握り拳を前に出す。
始まったのはジャンケン。俺はそれを見てるだけで、ジャンケンはすぐ決着を迎えた。
「ぐ……」
凛の一発負け。自分が出したチョキを恨めしそうに見ながら、意を決したように腕を組む。
それから凛が口にしたこと。それは、一か月前の結婚話より突拍子もない話。
「あたし達、これから毎日一人ずつ、リトの部屋で暮らすから」
「…………………………ハァ?」