五人の美少女達 -2-
「な、なら! 凛さんは——」
「だ、ダメ! あたしのことは言わないで!」
「パンツさわっ——もがもが」
暴露した摩耶の口を急いで押さえる真ん中の女性。
彼女の名前は牧野凛。
十八歳の大学一年生。身長は一六四センチ。
二〇二号室の住人。
赤い髪が肩甲骨の下あたりまで伸びていて、耳より数センチ上でハーフツインテールにされている。
若干吊り目で、髪と同色の赤い瞳。全体的に整った顔立ちをしていて、無表情だと気が強く思われがちで損している。はっきりと物事を言う性格をしているけど、可愛い一面もある。
女性にしては身長が高く、かなり細身なこともあってモデル体型。街を歩いていたらアイドルかな、と思うほどに容姿が整っている。
「そ、それなら柚希さんだって……あれ?」
「えっと……私、たぶん何もしてないかも……?」
暴露されるようなことをしてないのか、一番右の女性が疑問形で返す。
彼女の名前は橘柚希。
二十一歳の社会人二年目。身長は一六三センチ。
一〇一号室の住人。
ベージュ色の肩甲骨まで伸びる髪がハーフアップにされていて、上品な雰囲気。彼女を言葉で表現するならおっとり系お姉さんだ。
垂れ目ではないものの柔らかい印象を与える優しい目つき。若干丸顔なのが愛らしさを与えるにも関わらず、落ち着いた声調や言葉遣いは大人らしさが滲み出ている。
薄めのニットの下から主張する豊満な体つきは見る人を釘付けにするだろう。柔らかい印象と大人びた雰囲気から一言でまとめると、母性の塊のような人だ。
「とりあえず、梓さんは鍵を返してください」
「ちぇ、残念」
梓さんはポケットから俺の部屋——一〇二号室の鍵を取り出して、俺はそれを受け取る。
そのまま俺は立ち上がる。皆を立たせ、並ばせ、歩かせる。部屋の玄関に繋がる廊下を通り、そして——
「今日、俺の部屋に入るの禁止で」
——俺は皆を部屋から追い出した。
「はぁ、全く」
外から愚痴が聞こえてくるけど、無視。何もしてない柚希さんには申し訳ないけど、連帯責任として受け入れてもらおう。
廊下を抜けて部屋へ。再度ベッドに寝転がって、天井を見上げる。
「……もう二か月、か」
五人の美少女と出会ってから二か月が経つ。思い返してみても不思議なことばかりだ。
橘柚希、
一ノ瀬梓、
牧野凛、
結城摩耶、
天羽翆、
彼女達は、俺が八歳の頃から見続けている夢の登場人物だ。
曜日によって夢に現れる人物は変わった。
月曜日は柚希さん、火曜日は梓さん、水曜日は凛、木曜日は摩耶、金曜日は翆。土日は誰も現れず、たまに違う夢を見るくらい。
それだけでも十分不思議だけど、それだけではない。
彼女達が現実に存在していて、僕も住んでいる恋祈市に住んでいたということ。知らないはずの俺の実家に、同じ日の同じ時間に訪れたこと。