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6.チンコの息子がカッチンコって大丈夫ですかこの番組は! 大丈夫なんですか!!!!

 さて、どうしようか。村長にモッチンコを助けてくれって頼まれたけど、あんな5メートルくらいある爪と牙がやばい化け物に勝てるわけないし、餅を探す旅にでも出ようか。存在そのものを忘れてしまう前に。


 よし、そうと決まったら田んぼがある場所まで冒険だ! 出発んぬ!


 村を出ようと歩いていると、ちょうど入口あたりにスケッチブックを持って立っている人が見えた。ヒッチハイクか?


 あの人を避けて外に出たいけど、他に道がないんだよな。仕方ない、目を合わせないようにして素通りするか。抜き足、差し足、忍⋯⋯


「モゴモゴ!」


 話しかけられた! クソっ!


 筋骨隆々の20歳くらいのオラオラ系のイケメンが立っていた。なんだこいつ、完璧超人か?


「なんですか」


 スケッチブックを見ろと言わんばかりにこちらに向けている。


『勇者様、お初にお目にかかります。(わたくし)村1番の力持ち、チカラモッチンコと申します。先ほどモッチンコさんが攫われたのを見ました。実は(わたくし)、モッチンコさんに好意を抱いておりまして、あなたと一緒に魔王をやっつけに行きたいのです』


 ちょっと待て、いっぺんにそんな言われてもツッコミが追いつかないよ。


 まずなんなんだその口調は。マッチョのオラオラ系のイケメンの口調じゃないだろ。ギャップ萌えってやつを狙ってんのか? ドスケベ野郎が。


 あと名前やばくない? チカラモッチンコって。力持ちな奴がチカラモッチンコって名前の物語めっちゃ嫌いなんだけど。そのまんますぎるんだよ。生まれた時からマッチョになるって決まってたんか? なあ。


 んでさ、昨日モッチンコって名前初めて聞いて「名前にチンコ入ってんの!?」って驚いたけどさ、まさかモッチンコが名前に入ってる奴がいるなんて想像もしてなかったよね。


 んでお前あのボサボサ髪のおばさん好きなのかよ。どういう趣味してんだよ。


 心の中で全部突っ込んでしまった。とりあえず1番言いたいことだけ言わせてもらうか。


「チカラモッチンコって名前自分でどう思ってます? モッチンコって入ってますけど」


 チカラモッチンコはとんでもなくすごい勢いでペンを走らせた。村1番の筋肉だからこそなせる技なのだろう。


『チカラモッチンコは苗字です。名前はチンコです』


 名前はチンコです!?


 そんな名前アリなの!? 直球じゃん! 親の顔が見てみたいわ! とりあえず日本人ではないな、こんな名前役所が許すはずがない。


 チカラモッチンコ・チンコ⋯⋯とんでもない名前だ⋯⋯


 もしモッチンコと結婚したらモッチンコはチカラモッチンコ・モッチンコになるのか。チカラモッチンコ・モッチンコとチカラモッチンコ・チンコの夫婦⋯⋯


 そういえばこいつモッチンコを助けに行きたいって言ったよな。あんな化け物と戦う気か? 攫われたのを見たって言ってたし、魔王の怖さは知ってるよな。


「勝てると思ってるんですか」


『分かりませんし、正直怖いです。でも、(わたくし)は彼女を助けたいんです! どうか一緒に行かせてください! お願いします!』


 そもそも俺が魔王退治に向かってるっていう前提なのね。


 ⋯⋯はぁ、参ったよ。こんな純愛見せられちゃあなぁ。こんな一途に1人の女性(ひと)を思ってるんだ。無下には出来ないよな。


「分かりました、一緒に行きましょう」


「モゴゴゴゴ!」


 チカラモッチンコは喜んでいる。


「モゴゴ⋯⋯」


 ん? 彼の足元に子どもが。隠れてたのか?


「この子は?」


『息子のカッチンコです』


 息子いんの!?


 しかも名前カッチンコなの!? チンコの息子がカッチンコって大丈夫ですかこの番組は! 大丈夫なんですか!!!!


『あっちにいるのが妻です』


 チンコ(長いので以降下の名前で呼ぶ。あ、長いって言っちゃった。名前が長いって話ね)がボロい家の前に立っている女性を指さしてスケッチブックを見せた。女性はこちらに向かって会釈をした。俺も返した。


 こいつやりたい放題だな。一瞬でも感動した俺がバカだったわ。


『実は(わたくし)、スリルのあることが大好きでして、モッチンコさんと不倫するつもりなんですよ。もちろん妻には内緒ですよ』


 チンコはすぐにそのページを破り、グシャグシャに丸めて捨てた。


 女性がスケッチブックを片手にこちらに近づいてきた。


『彼の覚悟は本物です。誰よりも正義感が強い人なんです。どうか連れて行ってあげてください。私からもどうか、お願いします!』


 スケッチブックを掲げたまま頭を下げた。


 奥さんが不憫でならない。バラしてやろうかとも思ったが、それでは奥さんが悲しむことになる。かといってこそこそ不倫させるのも気が引ける。俺はどうすればいいんだ、こんな時にビッグマックがいたらなぁ⋯⋯って何考えてんだ! あいつはダメだ、俺をバカにしたんだ!


『さぁ行きましょう、勇者様(嫁にバラしたら殺すからな。絶対に何も言うなよ)』


「はい、行きましょうか⋯⋯」


 魔王は怖いし、1人目の仲間も怖い最低野郎だし、最悪なんだが。どうしよう、頭がパンクしちゃうよ⋯⋯


 こうして俺達は村を出た。

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