16.ちんちんぶらぶらソーセージ!
『金ピカ村に入る前に、健康ナルナールを俺に渡してくれないか?』
なるほど、護身用だね! さっすがアニキ!
『こんなやつに渡しちゃって大丈夫なの? ミッチョンコは大丈夫だけど、こいつその辺の人殺しまくったりしそうじゃない?』
アニキのことを「こいつ」呼ばわりか! 見損なったぞビッグマック! しっかり礼儀を学んでこい!
『はいどうぞ』
『そっちのも、全部渡してくれないか?』
『ほら、やっぱ危ないよ! こんなやつに渡しちゃダメだ!』
うるさいなぁビッグマックは! アニキが間違ったこと言うわけないんだから、大人しく渡せばいいんだよ! はいどうぞ、アニキ!
『じゃあ行こうか』
『うん!』
俺とアニキは金ピカ村に足を踏み入れた。
『いや、こいつ全裸だけど大丈夫? 村人に怒られたり通報されたりしない? ミッチョンコもとばっちりを食うかもよ?』
いや、服着てるじゃん。よく見てみろよ。全裸で村に入ってくわけないだろ。
『いや、心の目でちゃんと見てるけど、こいつ普通に全裸だよ!』
うるさいな! じゃあ直接アニキに聞いてみるよ!
『アニキ、服着てますよね!』
『一体いつから――――
俺が服を着ていると錯覚していた?』
なん⋯⋯だと!?
はっ! こいつ、よく見たら裸じゃねーか! なんかさっきまで仲良くしてた記憶があるけど、なんでこんな全裸の変態と仲良くしてたんだ俺は!
『ミッチョンコ! 目が覚めたのか!』
ごめんビッグマック、俺、お前にひどいこと言ってたかもしれない⋯⋯!
『ひどいことっていうか、意味分かんないこと言ってたよ。しりとりも理不尽な負け方してるのに何も思ってなさそうだったし』
そうだったのか⋯⋯
こいつ、一体何者なんだ!?
『俺の能力が王子シヌシーヌだという話、あれは嘘だ』
なんだと!?
『俺のちんちんが有する本当の能力は「完全催眠」、発動条件はこのちんちんぶらぶらソーセージを相手に見せることだ』
ちんちんぶらぶらソーセージだと!? 何年ぶりだこの言葉! 小学2年生ぶりだぞ!
『死ね!』
ちんぶらおじさんは俺に健康ナルナールをぶっかけた。そうか、このおじさんはあの戦場にいなかったから知らないんだな。俺にナルナールが聞かないことを。
『なぜ死なない! ⋯⋯こうなったら!』
おじさんはちんちんをぶらぶら揺らし始めた。催眠術のようにゆっくりと。見るわけないだろ。バカじゃねーんだよ。
俺はおしっこをひっかけておじさんを殺した。短い間だったが世話になったな。
『背中に魔王の手下って書いてあったよ』
そうなのか、なんでそんなご丁寧に⋯⋯
結局俺にちゃんとした仲間は出来ないんだな。ずっと1人で旅をする運命なんだ。シクシク。
『ボクがいるじゃないか!』
⋯⋯そうだな、ごめん。1番大事な相棒を忘れてたよ。
『忘れてたのかよ』
いや、忘れてたわけじゃないけど、旅をする仲間としてカウントしてなかった。2人で1つみたいな所あるじゃん、俺たち。
『確かにそうだね』
さて、そろそろ金ピカ村にお邪魔しましょうかね! 行くぞビッグマック!
『行こーっぜっっっ!』