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15.恐怖! 真っ黄ションベンしりとりりんご男の巻!

 あー、王子怖いなぁ。なんで俺の仲間ってみんな俺を脅迫するんだろう。こんなの仲間じゃないだろ。早めに死んでくれないかなぁ。


 そんなことを考えていると、遠くの方に何か光るものが見えた。よく見るとそれは金ピカに光っている。もしかして金?


『心の目で見てるけど、多分あれ村だよ。金ピカの村』


 金ピカの村!? ていうかすごいなビッグマック! そんな特技が! 南斗白鷺拳のシュウみたいだな! って話前もしたな。ってことは心の目で見るやつも今回が初めてじゃないってことか。忘れてたわ。


『それってミッチョンコの心情? それとも作者?』


 ⋯⋯知らんし。


 王子が俺の肩を叩いた。金ピカ村なら見えてるよ。


『おい、アレ! アレなんだ?』


 だから見えてるっつーの。自分が発見したみたいに言うなよ。とは言いつつも王子の指さす方を見てみる。


 スケッチブックを持った全裸のおじさんが立っている。なんだアレ。こわ。


『助けてくれ』


 近くに行くと、おじさんが助けを求めていることが分かった。でもこんな裸のおじさんに関わって大丈夫か? 罠の可能性はないか?


『悪い奴らに身ぐるみ剥がされた後なのかもしれない! 助けるぞ!』


 王子は私以外には良い奴なんだな。あとは金に目が眩んだ時か。大丈夫かな、おじさん助けて。


『ボクもちょっと怪しいと思うな。この前のウンチンコみたいにスパイかもしれない』


『とりあえず話だけでも聞いてみようじゃないか』


 王子がそういうので仕方なく2人揃っておじさんのところに行った。


 ちょうどおじさんの真ん前まで行ったと同時におじさんがちんちんを構え、放尿した。俺たちは避ける暇もなく小便まみれにされてしまった。


 おしっこといえば健康ナルナールを思い浮かべてしまうが、あれは伝説のおしっこで、滅多に出ないものだ。これは黄色いので恐らく大丈夫だろう。


『ミッチョンコはナルナール食らっても回復するだけだから気にしなくてもいいんじゃないの?』


 そうかもしれないけど、他人のナルナールは効くかもしれないだろ?


『なるほど。んでさ、なんでおしっこかけられたのにそんな平然としてられるの?』


 餅にかけられた訳じゃないからな。そんな怒るようなことでもないよ。そう、平然といえば、このおじさんの胸に「平等!!」って書いてあるんだけど。


『平等主義者なんじゃない?』


 ふーん。あ、そういえば王子はどうなったんだろ。高貴なお方だから見ず知らずのおじさんのおしっこなんて耐えられないんじゃないか? ショックで死んでんじゃねーの? ははっ。


 隣を見ると、王子が力なく横たわっていた。もしかして、死んでる? どういうこと? 本当にショックで死んだの?


『ははははは! 残念だが王子は死んだ! 俺の()()ションベンによってな!』


 何!? 真っ黄ションベンだと!?


 驚いてみたけど、なんだよそれ。普通のおしっこじゃないのか。風邪気味の日の。んでなんで俺は死なないんだ。


 そういえば、こいつが王子だって知ってるみたいだな、こいつ。何者かからの刺客か?


『ミッチョンコ今日冴えてるね』


 おじさんに詳しく聞いてみてくれ。


『おじさん、なぜあなたはこいつが王子だと見破ったんだ!』


『そんなの簡単さ。王冠被ってるからだよ』


『王様かもしれないだろ』


『王様はもっと歳とってて貫禄ある顔してるだろ』


『王様が早くに亡くなったら子どもが王様になることもあるぞ』


 ビッグマックの理詰めに観念したおじさんが筆を走らせた(口を開いた、に同じ)。


『正直に言うよ。俺は王子という人種が大嫌いな平等主義者なんだ』


 なるほど、だから平等って書いてあるのか。マジックで。


『それで何の偶然か、ここに転生した時に王子をションベンで殺せる力を授かったんだ。俺のションベンの正式名称は「王子シヌシーヌ」というらしい』


 王子シヌシーヌって健康ナルナールに似てるな。それにしても、俺以外に転生者がいたのか。


『転生者にはそれぞれ力が与えられるみたいだね。アニメとかでよく聞く「スキル」ってやつかな?』


 スキルって名乗るのもなぁ。おしっこだしなぁ。おしっこが武器の主人公ってなんかカッコ悪いからなぁ。


『この流れでいくと主人公どころか全員おしっこが武器の可能性もあるね』


『俺を仲間にしろ』


 おじさんがスケッチブックを見せている。


『ダメだ!』


 え、ビッグマック、勝手に断らないでよ。


『え? こいつと旅したいの? ダメって即答すればいいと思ったんだけど。なんで初対面でいきなりおしっこかけてきたおじさんを仲間にしようとしてるの?』


 なんでって、俺を助けてくれただろ。王子という脅威を消し去ってくれた。あいつと旅する未来を考えたらこいつなんて可愛いもんだよ。精神にかかる負担が違う。


『そこまで言うなら分かったよ。⋯⋯おじさん、仲間にしてあげるよ』


『よっしゃあ!』


 おじさんがめちゃくちゃ喜んでいる。俺も転生者に出会えて嬉しいぞ。


『ちょっと眠いから仮眠とるね』


 ビッグマックも眠ることってあるんだな。おやすみ。


 ♥☆♡30分後♥☆♡


 やっぱアニキ(つえ)ぇなあ。こんなに「る」攻めをしてくるなんて。


『⋯⋯おはよう。ミッチョンコ、アニキって誰? また仲間増えたの?』


 いやアニキはアニキだろ。この人以外いないだろ。


『おう相棒! 早く次やろうぜ!』


 望むところだ! アニキは「りんご」か。俺はゴライアスオオツノハナムグリで行くか。


『ミッチョンコ、ボクが寝てた30分の間にこのおじさんと仲良くなりすぎじゃない?』


 アニキはめっちゃ話しやすくて楽しい人なんだ! 俺ももう惚れ込んじゃってね、弟子にしてくれって言ったら(書いたら)「相棒でいいじゃねぇか」って! アニキかっけーっ!


『ほら、お前の番だぞ。「りんご」の「ご」だ』


 お! 今度は「ご」攻めかぁ! やっぱ強ぇやアニキ!


『いやミッチョンコ、それはおかしいでしょ。りんご→ゴライアスオオツノハナムグリ→りんご、じゃん。おじさん同じの2回言ってるじゃん。いいの?』


 おじさんじゃなくてアニキだよ! それにアニキは同じ単語を2回使うなんてズルはしないよ! アニキに謝れ!


『えっ、どうしちゃったの? まぁそんなに言うなら謝るけど⋯⋯すいやしぇん』


 さて、「ご」⋯⋯だな。「こ」でもいいのかな。いや、とりあえずは「ご」で行くか。


 よし、「ゴスロリ」だ!


『りんご』


 アニキ強すぎるだろ!


『いやおかしいでしょ。でももうボクは放っておくことにするよ。どうせ聞いてもらえないから』


 何拗ねてんだよビッグマック! 明るく行こうぜ!


『ゴキブリ!』


『りんご』


『ゴム草履!』


『りんご』


『ゴムまり!』


『りんご』


『御祝儀!』


『りんご』


『御成敗式目!』


『りんご』


『五箇条の御誓文!』


『りんご』


『ごはん!』


『りんご』


『ゴブリン!』


『りんご』


 アニキやばすぎるだろ。もう降参するしかない⋯⋯


『はは、中々のもんだったぞ相棒よ。あと少しで俺も追いつかれちまうなぁ』


『そ、そうですか! ありがとうございますアニキ!』


『ミッチョンコがスケッチブックに書いて会話するなんて⋯⋯なんか複雑だなぁ。結局このおじさんりんごしか言わなかったな』


 こらビッグマック! おじさんじゃなくてアニキだよ!


 というやり取りをしていたらあっという間についた。看板には「金ピカ村」と書かれている。よし、入ろう!

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