11.主人公にとりあえずで人殺しをさせるなよ
『勇者様、ありがとうございました。お気を付けて』
村長達に送り出された俺達は「お礼の品とかないんだ」と思いながら屋敷を出た。
『結局あの子最後まで喋らなかったね。お孫ちゃん』
スケッチブックがなかったからじゃないの?
『違うと思うよ。だってあの子、ボク達が帰る時に村長のスケッチブックに「勇者様の目が怖かった」って書いてたもん』
えっ⋯⋯
お前目見えるの?
『そこ!? ⋯⋯うん、確かに、なんか見えるわ。なんでだろ。目が見えぬ代わりに心が開いた! ってやつ?』
シュウじゃん。南斗白鷺拳の。
『それにしても男の人ってすごいね。初対面の女子中学生相手にあそこまで生々しい妄想をするんだね。あの子の歯がないことをいいことにあんな妄想を⋯⋯正直引いたよ』
ごめんなさい⋯⋯
「モホモ!」
突然目の前に女性が現れた。こいつ、ウンチンコじゃねーか!
『救ってくれると信じていました。ありがとうございます!』
そうスケッチブックに書かれていた。お前俺を嵌めただろ。嘘書いてんじゃねーよ。
『あなた、教団のメンバーだったんですね』
そうだそうだ、言ってやれビッグマック!
『脅されていたんです。すみません⋯⋯』
ウンチンコは涙を流しながらスケッチブックを見せた。本当なのだろうか。1度騙された相手だ、完全に信用するわけにはいかないよな⋯⋯
『とりあえず殺しとけば? まだ健康ナルナールはたくさんあるんだし』
なんてこと言うんだ。主人公にとりあえずで人殺しをさせるなよ。
『でもこいつ、後々村のみんなに何かするつもりかもしれないよ? そうなったらどうする? こいつを殺さなかったせいで何十人何百人と死んだらどうする?』
どうしたんだよビッグマック、なんか怖いよ⋯⋯
でもまぁ、他のメンバーはみんな死んだんだし、この人1人くらい放っておいても大丈夫なんじゃない?
『君がそう思うなら、それでいいよ』
なんか突き放されてる気がする。
『君の妄想がドS過ぎたからいけないんだよ。ボク失望したもん。さすがにアレはないよ』
そんなに言わなくてもいいじゃん。実際に何かしたわけでもないんだし。
『お嫁さんに貰ってたら実際にしてたんじゃないの? アレを』
うるさい! とりあえず次の村に向かうよ!
次の村楽しみだね〜。