手放すべきもの 1
もう、大丈夫だと思っていたのに、また昨晩のことを思い出して嫌な気分になっている。
そのことに気付くと深呼吸をする。
空を見上げる。
何か手放さなければならないことがある。
それは、何⁈
昨晩のことを考えると、また、あいつがやって来て大きな声で攻撃してくるのではないかと想像してしまう。
―怖い…。
でも、よくよく考えてみると、昨晩、あいつに攻撃されているとき怖かっただろうか⁈
私は、あいつの目を見つめて、しっかり話を聞いていた。
決して、怖くはなかった。
恐怖を感じるとき、それは、頭の中でいろいろ想像しているときだ。
あいつが、またやってきて、あることないこと騒ぎまくるところを想像する。
今も、私の悪口を言ってるところを想像する。
これから、何やかんやと言ってきて、振り回されるところを想像する。
そんな想像をしているときに、恐怖がわいてくるのだ。
しかし、それは、勝手に自分が考えているだけで、本当に起こっていることではない。
全くの幻想!
恐怖は、あいつが創り出したものではなく、私自身が創った幻想!!
なのに、あいつを批判している私。
あいつは、怖くはなかったのだ。
あいつを怖くて嫌なことを言う奴にしているのは、この私。
人のことを怖くて嫌な奴だ判断している私。
手放すべきもの、
「恐怖」
「人を判断すること」
あいつは、このことを私に気付かせるために登場した私の人生の脇役。
しかも、嫌な役をしてくれている。
ありがとう。
あなたは、私の世界の一部。
あなたは、私の一部。
あなたは、私。
そして、あなたは居ないし、私も居ない。




