人生ゲーム-筒井晶の場合-

ストーリー

　生まれてきてから今までの人生は、ストーリーで夢みたいなもの。

どこにも存在しない。

私が母から生まれて、弟妹もできて、小中高・大学と進学、結婚して、子供達が産まれて…

これらは全部ストーリー

昨晩あった嫌なことも、車の上を誰かが走っていたことも、あの人のことも…

全部ストーリー

探しても、どこにもない。

そういう記憶が、ただ今、浮かび上がっているだけ。

でも、人間というものはそれぞれのストーリーを意識せずとも持ち歩いて、それらが真実だと信じている。

私も、そう信じていた。

とても長い間、そう信じて生きてきたので、その感覚からまだ抜け出せずにいる。

でも、根拠のない確信が芽生えてしまった。

ストーリーは幻想で、あるのは常に「これ」だけ。

私を含め誰もいないし、何も起こってはいない。

言い方を変えれば、全(・)て(・)が(・)私(・)！