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蛍光色の閉塞な籠の中で  作者: 花葉集
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不思議を抱えて。



生まれて18年、不思議に思うことがある。



それは本を読む中で幼少期のころは特に気にかけることなく過ごしてきた些細なことだ。



例えば空。


童話の中では朝日が昇り、時間によって様々な色に染まりながら太陽が地平線に沈むとともにその色を失う。



ずっと不思議だった。


僕は生きてきて一度もそんな光景は見たことないし、それを周りの人間に投げかけても誰も教えてくれることはなかった。




例えば風。


季節によって周期的に様々な方向から空気が流れてきて動植物を揺らし、風が起こる場所の特有の匂いをもつ。


空気が流れるとは、いったい何なのか。

学校で先生はただの創作物の奇抜な設定だろうと言っていたけれどそれにしても描写が細かい。

それに多くの小説で設定が類似しているのも設定だとするなら不自然だ。


本当はこれらは全部存在するものなのでは?

どこか僕らが住む世界とは別にこんな風景が見られる世界があるんじゃないか?





…。

………。

なんて。


「…馬鹿馬鹿しいな。」



18にもなって妄想に耽っているなんて人に知られたら揶揄されてしまうな。

ただでさえ今まで変なことを考えていると言われてあまり人から良い評判を受けてこなかったのだ。

くだらない妄想はやめよう。



そんなこと考えながら読んでいた本を閉じて明かりを消して布に包まり目を閉じた。




明日は早めに家を出て書庫に行かなきゃ。近所の学生会から返された本をほったらかしたままだ。早めに片付けておかないと。めったに人来ないから急ぐ必要もないのだけれども。


少しずつ意識が遠のく。僕は寝つきがいいほうだ。一度睡眠に入ったら一瞬で朝が来る。最近はそのことがなぜか怖くなってきている。



きっと今の生活に満足していないんだろうな。




僕は寝息を静かに立て始める。

閉じられた本には持ち出し禁止のラベルが貼られていた。

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