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輝きがほとばしる瞳の先に人魚
「迷惑にならないかどうか」
俯きがちな私の恋心は
その胸をつく気掛かりの淡い膜で包まれていて
まるで私はふにゃふにゃの
ビニール製潜水艦の中から
透明の窓に両手をつき
水中で小さな魚たちと悠遊と泳ぎ舞う
男性人魚のようなあなたを
熱い眼差しをもって
見つめている心地なのであった
近づけなくてもいい
ただ、見ていたい
あなたの迷惑に
ならないのであれば
あなたが時に熱く
時に楽しげに
時に誠実に
尾びれで水の空間を強くうねらせると
私の潜水艦はその揺れに合わせて
表面のビニールの形をぐにゃりぐにゃりと変え
それでもしっかりと両手の平を窓につき
あなたの表現全てを見逃すまいと
ほとばしる輝きを瞳にたたえた私は
水が煌めきたゆたう異空間の中で
理屈ではない「好き」に
自分の「人生」を心から
捧げていた