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欲深き一目惚れ

それは確実に

私だけに振られている手

だったように思う




第一校舎と第二校舎をつなぐ渡り廊下を

いつもと変わらず何気なく歩く

私とクラスメイト達の群れ


先輩たちは休み時間に

この中庭でベンチに集ったり

サッカーの遊びみたいなことを

していることも多い


だから私はいつも

この数秒の移動時間に

先輩を目で捉えることができるか


ひとつの小さな挑戦のようなことを

しているのだ


それをもし他の人が聞けば

とても取るに足らないことだと

思われるかもしれない


でも私にとっては

その『一目(ひとめ)』が

とても愛おしい

『今日を生きる意味』を見出す




先輩はバスケ部で

隣で活動するバトミントン部の私に

時折、とても自然と

たわいもない話題で話しかけてくれた


私はそんなに簡単に

どんな先輩とでも

仲良くなれるタイプじゃなかったから

なんとなく珍しさを感じながらも

「話しやすさ」だけは痛烈に感じ


気がついたら

斜め後ろからの

首筋から背中のラインを

目で追っていた




その先輩と今日

この渡り廊下の移動時間に

初めて目が合ったんだ


きっと合ったように思う


だって先輩は

腰のあたりで小さく

手を振ったから


私だけに向けて


確かに私の周りには

他にクラスメイトがいたかもしれないけど


先輩があんな風に手を振る相手が

その時、私の周りにいただろうか

いや…きっといなかった


渡り廊下にも中庭にも

あんなにいろんな人がいる中で


私が一目でも捉えようとした先輩自身が

私を見つけてくれて

手を振ろうと思ってくれたこと


私と先輩は

それほどの距離の仲であるとゆうこと


他の人が聞けば

取るに足らない一場面


でも

手なんか振らなくてもいいのに

手を振ろうと思ってくれた


私にアクションを起こそうと思ってくれた


誰でもない私に


こんなに

たくさんの人がいる中で




私は今日初めて

あなたが欲しいと思いました

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