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それでも私は釣りに行く!  作者: naoてぃん
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王都とウツボと(5)

「というかデオさんは!?一緒に行くんでしょ!」

「すぐ来る、心配するな、責任ある立場の大の男が女に抱えられて移動する訳にも行くまいて」

空を蹴るタリアさんの速度に追い付く人間なんて流石に……と思っていたが近くの建物の屋上を跳ねる影がチラリと視界に入り見るとデオさんが建物から建物へと跳び移っていた。

「……ほんとに人間?」

鎧やら剣やらがガシャガシャいっているが相当重いだろう。

「ああ、紛れもなくただの人間さ、ただ強いだけのな」

その身体能力でモンゴウに苦戦する要素ある?

タコっていう生物に馴染みがなくて弱点知らなかったとかそういうアレかな。



数分間お姫様抱っこで空中を抱えられ(おんぶの要望は聞き入れられなかった)すぐに城に着いた。

時速で言えば体感六十キロ以上は出てただろう。

というかデオさんもすぐに到着したが着地と同時にふぅと一息ついただけで別段疲れた感じも出さなかった。

化け物。

城の中では既に転送魔法の準備が終わっていた。

「婆、すぐ出るぞ」

「はいはい、全く相変わらずせっかちだねえ」

婆と言ってもそう言うタリアさんの方が年上だろ。

この間のお婆ちゃんが魔方陣みたいなのの中心に私達三人を立たせた。

よくわからない呪文を唱えると足元の魔方陣が光り始める。

「では頼んだぞ、戦士達よ」

お婆ちゃんに敬礼して一緒だけ意識が飛ぶ。

光が一層強くなった。

海辺に置いてきた釣具と魚達を守る為にも頑張らないとな。




次の瞬間には放り出される感覚で目が覚める。

パチっと目を開けるとすぐにタリアさんと目が合った。

すぐ近くにデオさんもいる。

「エナ、先に言わなきゃいけない事がある」

「え、なんです?それ転送前に言って下さいよ」

「いや、私達も今気付いた」

デオさんもタリアさんの言葉にうんうんと頷く。

「ふーん、なんです?」

「足元を絶対見るなよ高所恐怖症」

あっ察し。

意識したと同時に体が重力に引かれて真下に落ちる、タリアさんに服を掴まれ空中でストップ。

「ギャーーーー!!なんでなんで!!」

タリアさんがパンパンと音をたてながら空を蹴る。

デオさんも紐の様な物をタリアさんに投げてそれをタリアさんが掴んだ。

「こ、こら!暴れるな!」

「むりむりむりむりむりむりむりむりむりむりむりむり!!」

お婆ちゃん転送する場所間違えたんかな。

キレそう。

だが割りと近くに例の巨大ウツボ軍も見える。

タリアさんがウツボ方面にデオさんを投げた。

デオさんは空中で剣を構えながら落ちて行く。

高い練度と信頼関係故に出来る事だろう。

無理無理ちびるよ。

タリアさんが私の服を掴んだまま高度を少しずつ落としながらウツボに近付いていく。

足元でデオさんの剣がウツボの頭に刺さるのが見えた。

私の涙が空中で散る。

そら泣くでしょ。



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