騎士団とナマズと(完)
私の言葉にデオさんが驚いた。
「何!?貴女があの化け物を倒したというのか!?しかしそれなら尚更戻らない理由がないではないですか!タリア団長!」
デオさんがタリアさんに詰め寄る。
私はどうしたいだろう。
タリアさんに騎士団に戻ってほしいだろうか。
「デオ、お前が居れば騎士団は安泰だろう?私はこのエナが元の世界に戻るまで見届けなければならない、だから……へ?」
タリアさんの胸ぐらを掴んで左足を軸に。
「いつものタリアさんを返せビンタ!ああ力抜くの忘れてたごめんタリアさん!」
刃を通さぬ皮膚に岩をも砕く力で弾かれて私の手を離れて中で三回転して潰れた蛙の如くベチャリと落ちた。
横で見てたデオさんもドン引き。
空中で美女がしていい顔じゃない顔してた。
「お、お、おま、ころす、き、か」
「事故って事で処理しといて下さい」
ケーサツよんでー。
タリアさんの肩を抱えて立ち上がらせる。
「すみませんデオさん、タリアさん一応私の案内役って事になってるので、騎士団に戻るの私が元の世界に帰るまで待って貰えませんか?」
私が帰った後はどうなろうと知らん。
「エナ……」
「私にはタリアさんが迷ってる様に見えます、戻りたいけど自分で自分を許してないんでしょうでも私の知ってるタリアさんはこんな堅物じゃないのでそろそろ戻って来て欲しいのでやめて欲しいんですよね、そろそろこの茶番劇」
「茶っお前」
「なるほど……話はわかりました、タリア団長さえそれでいいならば我々もその条件を飲みましょう」
私とデオさんに挟み込まれてキャラのおかしいエルフも観念したみたいだった。
「全く、私本人の同意も無しに話を進めるな、まあこの続きはエナが帰るのをちゃんと見届けてからな」
最初からそう素直になればいいんだよ。
顎の骨割れてるかもしれない。
「さ、じゃあ元騎士団長様?さっさと号令かけて、タコ退治に出掛けますよ」
「号令かけるのは私じゃないだろう、ほら、デオ」
タリアさんの声にデオさんが騎士達の方を向いた。
「これより、王都を狙う逆賊の討伐作戦を開始する!」
騎士達呼応してが高らかに吼えた。




