騎士団とナマズと(13)
王様の横を通りすぎて私の前に来て爪先から頭の天辺まで舐める様に見渡された。
「あ、あの」
「うむ、やはりな」
あからさまな魔女みたいな風貌で魔女みたいな長い鼻、そして長い爪に枝のように細い腕、紫のローブ。
もしかして私の認識でそう見えているだけだろうか。
魔女魔女しすぎる。
「地球からの来訪者は私も何人か見てきたがね、魂が此方側に寄り過ぎておるよ」
魂と来たかぁ。
「分かりやすく言えば魔力を宿したね、此方に来てから、産まれ持った物じゃなく」
あーあー心当たりしかない。
「もしかしてハイドラ的なアレの事ですかね」
「そう、それだ、魔力を出してごらん」
そう言って私の手を持つ。
言われた通りにハイドラモード。
「おおぉ、これは……特に強いハイドラ、伝説の……テュポーンにも匹敵する力」
テュポーンという名前に城内がどよめく。
良くわからないけど名前だけ聞くと可愛い感じする、テュポーン。
テュポって辺りが。
「どこでこれを?」
「え、あーえーと、行商っていう女の子から」
買ったのはタリアさんだし飲ませたのもタリアさんだけど。
「ふーむあの女狐め……このまま帰ると世界のバランスに影響しかねない、帰りたければこの毒を抜く必要があるね、強制送還自体は可能だけどね」
そんなにヤバイのかこれ。




