騎士団とナマズと(12)
しばらく私達が食べ終わるのを待ってくれた。
ほぼ同時に食べ終わるとその皿がスッと下げられる。
「さて、じゃあ準備出来次第城に向かうか、ラヴィ、留守を頼むぞ」
「はい」
言われるままにラヴィさんがカートと共に食堂から出て行った。
「一緒に行かないんですか?」
「ラヴィが行っても何にもならないからな」
確かにこの街に暮らしているというなら別にって感じか。
付き添いってのもアレだし。
この館からだと徒歩で三十分ほどで着くらしい。
タリアさんの全速力なら五分と掛からないだろう。
タリアさんの後ろをついていくと顔パスで城の中まで入れた。
途中ガチガチの鎧を纏った兵士達を何人も見たがアレも騎士団だろか。
「王よ、異世界からの客人を連れて参りました」
ヴィヴィは違うけど。
「うむ、ご苦労」
王と呼ばれた老人は赤と白のマントに王冠、そして立派なお髭と見たまんま王様って感じだ。
ファンタジー成分が高すぎる。
玉座に座り私達より数センチ高い位置にいる。
タリアさんに背中を押されて前に出る。
「あ、あの」
じっと私を数秒見つめて口を開いた。
「此度の刺客の退治、誠に見事であった、報告は聞いておるよ」
王様がそう言うと召使いと思わしき人達がぞろぞろと入って来て金貨をじゃらじゃらと私達の前で広げる。
「これは討伐に対する報酬である、遠慮せずに受け取るがいい」
後ろでヴィヴィの目がギラッギラしてる。
「は、はぁ、ありがとうございます……じゃなくて、私元の世界に帰る方法をですね」
結局の所これが第一だ。
転送魔法?のエキスパートとやらに会って地球に帰らないと。
「それについても聞いておる」
なら話が早い。
「だがな」
だが?
「今は無理なのだ」
「……えぇ」
玉座の奥から見たまんま昔話に出てくるような魔女という風貌のおばあさんが出てきた。
この人が転送魔法のエキスパートだろうか。




