騎士団とナマズと(11)
人間的な見た目は私と同い年ぐらいだろうか。
十八~二十歳ぐらいに見える。
「え!でもダークエルフってエルフと仲悪いんじゃないの?」
思い出したかのようにヴィヴィが言う。
「昔ラヴィの村を救った事があってな、騎士団の時に」
なんだか口から騎士団という単語を出すのを遠慮している。
騎士団の連中とそんなに悶着あったのか。
いや、でもあの若い騎士はそう言えば帰って来て欲しいって言ってたような。
プリン食べたぐらいの喧嘩なんだろうか。
「もうかれこれ二十年も前の話ですが、それが私とタリア様の出会いでございます」
そう言いながら私の前の料理のクローシュを開ける。
ふわっと湯気の中から魚のムニエルが出てきた。
ヒラメの仲間だろうか。
「タリア様よりエナ様は魚がお好きだと伺っておりますので」
わかってるな。
「あ、ありがとうございます」
そしてパンとコンソメみたいなスープとなんか粒々の入った小鉢。
文化は違うはずなのに似たような食器はあるもんだな。
私の前からスッとヴィヴィの前まで移動して同じ所作でクローシュを開ける。
「わ、私は魚はちょっと……」
そう言えばヴィヴィは魚になれるのか。
まあ言うても共食いする魚なんてゴマンといる。
「その点は伺っております、こちらポークのソテーでございます」
「豚!豚肉すき!」
その返答にニッコリするとパンとスープを小鉢を置いて下がる。
そしてマナーもなにもなってないヴィヴィがピィンとフォーク(に類似した食器)を弾いて宙で掴み即ソテーをぶっ刺して口に運ぶ。
器用だなそれ。
「うま!」
豚だよ。
もう少し味わえ。
その動作を一通り見た後でカートと共にタリアさんの後ろまで下がった。
「タリアさんは食べないんですか?」
「さっき食べた」
私達が野宿してる間に?
「まあ私の事は気にするな」
まあ気にするだけ無駄な気もする。
「まあそれにしてもタリアの女の趣味がわかったわね」
モグモグしながらフォークを振り回し下品にヴィヴィがタリアさんを指差す。
タリアさんも女なんだから女の趣味もなにもないだろ。
器用だな。
「んぐっあんた巨乳好きね」
タリアさんを向いてる指が私に、否、私の胸に向いた。
確かにラヴィさんは大きい。
私といい勝負かもしれない。
「……うるさいぞ貧乳」
「私とあんたじゃいい勝負でしょうが!つーか大きくないだけで小さくないし!エナを基準にすんな!」
自慢じゃないけど私を基準にしたらみんな貧乳になるぞ。
自慢だけど。
は?




