騎士団とナマズと(6)
「あーもーここまで来たら城まで行っちゃった方が早いな」
そう言ってヴィヴィはバサバサと羽ばたいて数キロ先に見える城の天辺と同じ高さまで上がっていった。
私は置いてくつもりかーいと思ったけどすぐに諦めたのか羽根を散らしながら戻ってきた。
「もう暗いしね、また明日にしよ」
まあ明日には城に着くだろう。
「へ?結局今日はどーすんのよ」
そんなの決まってる。
「野宿」
そら(あてもないんだから)そう(なるしかない)よ。
ヴィヴィの心底嫌そうな顔をバックにやむなしで寝袋を広げる。
「まだ出会って一日目の人外をよくもまあそこまで信用出来るわね」
そんな事を言うもんだからその辺の拳大の石を拾い上げる。
「なによ、襲ったらそれ投げるとかいうの?言っとくけど私が本気で飛んだらそんなの当たらな……」
握っただけでまるで猫のオモチャにされた発泡スチロールの様に見るも無惨な姿に。
「さ、寝ましょ」
状況を理解したらしい。
さっさと寝袋に入った。
微妙に震えてる様にも見える。
きっと今私の目は闇夜に紅く映えてる事だろう。
そういえば勝手にどこか行ったタリアさん大丈夫かな。
本当に元騎士団長ならこの王都にも知り合いぐらいいるかもしれないけど。
なら私達の宿も確保してくれ。
というか、何故騎士の人達に会いたくないなら私に付き合ってここまで来たんだろうか。
本拠地のここに来ればそんなの会うに決まってる。
まあ、会って聞くしかないか。
「お休みヴィヴィ」
「お、おやすみ~」
まあ精々ヴィヴィには私の機嫌を損なわない様にして貰おう。




