セイレーンとタコと(完)
タリアさんと共に食堂に入ると既に大男達がごった返していた。
バーゲンのおばちゃんみたいだ。
「嘘でしょ」
「まあそうなるか」
「タリアさんは食べないんですか?」
「まあ見てろ」
「?」
バーゲンのただ中のど真ん中から水色の塊が飛び出して私達の前に着地した。
「任務完了!私は食べたから後は食べていいわよ、見た目に反して結構イケるのねこれ」
そういうヴィヴィの両手に作った料理が乗った皿が二枚とスプーンが二本。
「ヴィヴィ~ナイス~」
「えっへん」
さっきのドヤ顔をドヤ顔で返されたか。
三人で壁際の席に陣取る。
「箸がよかったけどまあ異世界だし文句は言えまい」
「どうした?食べないのか?」
「いえ、こっちの話です、いただきまーあ?」
「失礼、お嬢様方」
そんな美少女集団に忍び寄る二十歳ぐらいの男性一名。
お嬢様なんて初めて言われたけど。
マントを羽織り一部鎧みたいな格好をしている。
「やはり……」
頬張ろうとしていたタリアさんを見てひざまづく。
お?なんだなんだプロポーズか?
タリアさん顔は間違いなく美形だからな。
エルフの人達はただでさえ線が細くてイケメン揃いだし。
「う!お前は……」
当のタリアさんはタリアさんで心当たりがあるみたいだ。
「帰還なされたのですね!騎士一同お待ちしておりました!騎士団長!」
私達だけで無く食堂で食事を続けていた大男達も箸もといスプーンを止めて何事かとこちらを見ていた。
「騎士団長?タリアさんが?」
流れ変わったわこれ。




