セイレーンとタコと(13)
とはいえ何作ろうかな。
ここまでデカいと船員全員分作れるぞこれ。
たこ飯と、カルパッチョ、あとは揚げ物とかかな。
「米ってあります?」
料亭みたいな大きな釜とそれに見合う量の白米が出てきた。
ただこの世界の米は日本の物より粘り気がない。
タイ米に近い。
タコの足を適当なサイズにぶつ切り、それにしてもデカすぎるけど。
適当な魚介と昆布みたいな海藻から取った出汁を一緒に炊き込みこれで放置。
始めチョロチョロとかはめんどいのでしない。
残り三分の二。
足を輪切りにして大皿に盛り付け。
玉ねぎを切った物を乗せオリーブっぽいオイルがあったので丸々一瓶、それからレモン汁、パセリっぽい香草があったので砕いてふりかけ。
残り三分の一。
本当は食べやすい大きさにカットするんだけどまあサイズがサイズだし男性も多いので拳大のカットでニンニク、生姜、酒とあと醤油がないのでナンプラーっぽい調味料をドバドバ使って片栗粉をまぶして油にドーン、カラッと揚げて完成。
油がそんなになくて大変だった。
揚げ物という文化は余りないんだろうか。
大量の料理を作り終えてぐでーっとしていると匂いに釣られた男衆+エルフとセイレーンが覗いていたので手で持ってってと指示を出して運んでもらった。
たこ飯ももういい頃合いだろう。
「食べないのか?」
「ちょっと休憩でーす、まさか誰も手伝ってくれないとは思わなかった」
量が量だけに流石に流石に。
聞いたところによると元々シェフがいたらしいが前に港に止まった時に降りたらしい。
ちくせう。
「まあ慣れてるのに任せた方がいいだろ?」
「物は言い様」
手伝うぞぐらい言ってくれても。
まあそれでも作ったの私だし食べるものは食べよう。
厨房から船全体にタコ料理のいい匂いが漂っていた。
ハラペコだ。




