セイレーンとタコと(11)
「それでは命に感謝して、いただきまあ??」
水中でピョンピョンと跳ねるレインボーシュリンプに飛び付いて丸呑みにすると同時に上からぐぐっと強い力で引っ張られた。
「なん、なん、なん、うぐわぁ!!」
そのまま海面へ向かっていく。
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再び船の上。
「っしゃあ!なんかデカイ!タリアさんタモ!タモ!」
「いきなり釣れたのか!?ちょっと待て!」
海老を投げて十秒ぐらいで急にドデカイのがガツンと来た。
普通にやってたら私ごと持ってかれる。
「ハイドラモード!」
一瞬で軽くなりザバーっと音を立てて海面に上がってきた。
この感じ、やっぱり今まで釣りしてる時に急に軽くなってたのはハイドラモード出てたんだな。
タリアさんがタモを準備している間に獲物が上がってきた。
丸い頭、赤黒いヌメヌメの表皮、沢山の足。
タコだ。
私と同等のサイズ、いや、もう少しデカイかもしれない。
この世界にもタコがいたのか。
まあイカがいればタコぐらいいるか。
だが良く見るとその足全てに剣のような物が付いてる。
タコにファンタジーフィルターが入ると戦えるようになるのか。
やばいなタコ。
船のデッキの上にべちょっと着地すると一瞬戸惑ったような態度を取ってから私と目が合った。
「そいつがモンゴウだ!」
タリアさんの叫びでハッとする。
え、でもこれは。
「タコじゃん!」
「わ、私をタコだと!?ゆ、許さんぞ!人間ごときがああ!?」
だらだらとキレセリフが長いのでその隙をついて腰の柳包丁を眉間に向けて投げる。
綺麗に刺さってそこに飛び蹴り。
深々と刺さった包丁をスッと引き抜くと赤黒かった表皮がスーッと白っぽくなりビクビクしながら力を失いしなしなとへたり込んだ。
「たっタコが喋った!」
「おっそ」
「びっくりして締めちゃいましたよ」




