セイレーンとタコと(6)
おっさんを置いて三人で外に出る。
おっさんは任せておいて大丈夫らしい。
「さて、改めて港町だけどヴィヴィみたいなのがいても平気なぐらいこの町は人外を許容してるの?」
さーっと見渡してもその辺に所謂魔物みたいなのがちらほらと見受けられる。
狼男みたいな人、オークみたいな人、エルフ、様々だ。
タリアさん以外のエルフ久しぶりに見たな。
「まあここはこっち側から王都に向かう唯一の船着き場だからな、ここから見て王都の反対にもこういう町があって栄えてるらしいぞ」
なるほどそれもそうか。
流石に王の都に入り口が一つだけな訳がない。
「あ、それなんだけどさぁ、今王都にテロの声明が出てるらしいわよ」
そう切り出したのはヴィヴィだ。
先に町に来てただけあってそういう情報も早いな。
この世界にもテロなんて言葉があるのか。
もしかしたらそれに準じる言葉を私の脳がそう変換してるだけかもしれないけど。
適応の能力とはそういう事だ。
「テロって?」
「なんでも剣先団?とかいう危険な連中が王様の首狙って攻めいるつもりらしいわ、号外出てた」
そう言って渡された紙にはでかい見出しの写真とこの世界の文字で長々と書かれていたがやっぱり今一この世界の文字は読めないな。
そこも適応して欲しい。
タリアさんに渡すと読み上げてくれた。
「何々、先日剣先団の使者から王に対しての殺害予告が出た、剣先団は何年も前から王都の騎士達としのぎを削っているが騎士達と互角、もしくはそれ以上の戦闘力を有していると思われる、剣先団は到底人とは思えない容姿で十本の手足を持ち多彩な攻撃を繰り出すらしい……そんな化け物みたいな奴らがいるのか?」
「……烏賊じゃん?」
剣先って、十本の手足って、イカじゃん?
「ここに書いてあるがリーダーの名前はモンゴウっていうらしいぞ」
「やっぱりイカじゃん」
「知ってるのか?」
「私の世界にもそういう生物いますけど、美味しいですよ」
うわこいつという顔を二人からされた。
「地球だったか?なんで地球人はそうやってなんでも食うんだ、手足が十本とか普通食わないだろ」
食うでしょ。
烏賊焼き好き。




