セイレーンとタコと(3)
衝撃波と共におっさんが来た道の方へ吹っ飛んでいった。
そしてそのおっさんを追いかける翼の少女を巻き込んで引ったくられた荷物ごと飛んでいき数十メートルで民家に当たって勢いを殺した。
少女の悲鳴が聞こえた気がする。
「……これはシャレにならないわ……」
ナイフを払った時に刃が手に当たったが全くのノーダメージ。
私より少女とおっさんがやばそう。
「お、おい!大丈夫か!?」
「私は平気です!それより」
二人の所に駆け寄ると二人共目を回して気絶していた。
おっさんのこれが気絶かどうかは知らないけどピクピク動いてはいるから生きてはいるはず。
「こっちの女の子は気を失ってるだけで済んでますが、こっちの男性は骨が数本逝ってるますね、内臓にも少しダメージがありそうです、何があったんです?」
二人を抱えて近くの病院みたいな施設に駆け込むと治癒の魔法を使ってくれて二人の治療をしてくれた。
金ないけど大丈夫かな。
眼鏡の物腰の柔らかい女性の先生が丁寧に診てくれたがこれなんて説明すればいいんだろうね。
「あ、あはは、えっと、こっちのおっさんが女の子の荷物引ったくって……えーっと、そうそう突如現れた蛇の化け物に激突して!えーっとえーっと」
嘘はついてないからセーフ。
わたわたと説明していると少女がパチッと目を覚ましてガバッと起き上がった。
ススッと診療のベッドから起き上がり私の顔を見るなりその翼になっている手で私の襟首を掴んで来た。
「何すんのよーーーー!!殺す気かーーーー!!!」
声がでかい。
耳を大声量が通り抜けてキーンとする。
「う、うるさーい!鼓膜破ける!」
「どんなバカ力よ!なんでひったくりから荷物取り返すのに吹っ飛ばされなきゃいけないのよ!」
少女の背後にいつの間にかナイフを構えたタリアさんが立ち首に突きつける。
「落ち着けよ、チキンステーキになりたいのか?」
恐怖にひきつった顔で私から手を離しゆっくり両手を挙げた。
「は、はは、や、やーね、冗談よ冗談、は、は、は、た、助けてくれてありがとね、エルフは早とちりでいけないわね、ははは」
ガチで泣きそうになってる。




