思い出とサバと(12)
一日の授業を終え呼ばれた通りに体育館裏に行くと先日振ったイケメン君がいた。
サッカー部部長だっけ?
「いやーあの、リベンジ?」
後ろにはなんと接点の無さそうな飯田までいる。
なんなんだ。
「俺はもうきっぱり諦めた、それよりこいつの話を聞いてくれ」
そう言って飯田を前に出す。
「お二人は友達?」
「幼なじみなんだ」
驚きの関係。
いや、まあおかしいことはないか。
幼なじみなんて家が近ければなる。
「それで?」
飯田はイケメン君に何か小声で合図送ったりしてるがイケメン君は首を横に振って更に飯田の背中を押す。
優しいなぁ。
観念したのか飯田も自分から一歩前に出て話始めようとする。
「あっあっあのっ」
目を逸らすな。
「話する時は相手をよく見て」
「やっやっぱりちょっと待って!」
顔を真っ赤にしながら再びイケメン君に寄りすがる。
「なんでだよ、自分の言葉でちゃんと伝えないとダメだろ」
「でっでもでも」
「ほらっ!」
再びイケメン君に背中を押されて私と向き合う。
「えっと、その……」
「あのさ、私もさっさと帰りたいから用がないなら帰りたいんだけど、向こうに蜜も待たせてるし」
「あっ待って待って!」
深呼吸をして一拍置いてから踏み出して来た。
「ぼ、ぼく、僕と、つ、つ、つ、付き合ってください!」
お、言った。
「えっとあっ、二年に上がってすぐとか話してるとか、いいなって、あのっえっと」
「……条件がある」
「……え?」
私も別に飯田の事は嫌いじゃないし嫌じゃない。
二年に上がってから何回か話してるしある程度はわかってるつもり。
「今から私と蜜、あとそこのイケメン君と四人で堤防に行って釣り、そこで私に勝てたら付き合ってあげる」
私と交際するからには私より釣りが上手いぐらいじゃないと。
「それが無理なら今回は諦めて」
真っ赤なままイケメン君の方を振りかえって頭をブンブン振る
「わかったわかった、ついてってやるよ」
イケメン君、初見ではわからなかったけど結構いいやつだな。
「所で、なんで俺は即ダメだったのかな?」
「いや君のこと知らないし」
全く知らない人にいきなり交際をもとめられてもねえ。
「モテるんだからもっといい女探しなよ」
「俺は君がいいなと思って口説いたんだけどな」
そいつは光栄。
ま、今回はご縁がなかったということで。
蜜と合流して事情を説明したら頭をひっぱたかれた。
しどい。




